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【村の行事】2025年
10月30日(金)〜11月2日(日) Dia de todos los Santos関連
12月6日(土)〜7日(日) Dia de la Constitucion関連

2025/10/31

10月30日(木) 霧の朝とアマゾンの荷物

 朝、バルコニーに出た瞬間、世界が真っ白に消えていました。

雲が降りてきて、村全体が霧の中にすっぽり隠れてしまったよう。

昨日から降り続いた雨が今朝ようやく止んだかと思えば、今度は霧。空気の冷たさが頬に触れると、季節が確実に深まっていることを感じます。

11時を過ぎたころ、ようやく霧が上へと上がっていき、お昼ごろには青空が広がりました。とはいえ、湿った冷たい空気が流れた一日でした。

外を見ると、羽のついたアリが数匹、ひらひらと飛んでいます。毎年この時期、一斉に羽アリが飛び立つ日があるのですが、どうやらその“前触れ”のようです。雨上がりに現れる彼らを見ると、季節のリズムを自然が教えてくれている気がします。

羽が落ちたアリ

近いうちに、村じゅうで羽アリが乱舞する日が来るのでしょう。家の中に入らないよう今日は窓をきっちり閉めておきました。

今日は一日、家の中で仕事をしていました。

本当は少し散歩に出ようと思っていたのですが、アマゾンの荷物が届く予定だったのです。

この村では、配達時間の指定ができません。アマゾンが一方的に「○日頃にお届けします」と決めてしまう仕組み。しかも時間の指定は一切なし。

だから、受け取る側は“いつ来るかわからない荷物”を、ただ待つしかないのです。

普段は郵便局止めにして、自分の都合のいい時間に取りに行くようにしています。

でも今回はそれができない商品で、家まで配達されることに。

音楽をお流し仕事に集中していたこともあり、気づけば13時。

メッセージを確認すると、「配達中」と書かれていました。

この家にはベルがないので、配達員さんは玄関のドアを“ドンドン”と叩くしかないのです。

ドアと言っても私のドアではなく、4つピソがあるのですが、その共同のメインドアです。

なので注意していないとノックの音を聞き逃してしまいます。

夕方になって再びメッセージを見ると、「配達済み」との表示。

“え? いつ来た?”と思ってドアを開けると、そこに段ボールが静かに置かれていました。

おそらく、下の階の人が受け取ってくれていたのでしょう。

ありがたいことです。

この村で暮らしていると、「時間どおりに届く」という感覚が少しずつ薄れていきます。

郵便局も、商店での受け取りも、営業時間はまちまち。

それでも、人の手を介してきちんと荷物が届く。

そんな小さな確かさが、少し嬉しく感じられるようになりました。

今日の霧のように、見えないものの中にも、ちゃんと届いているものがある。

そんなことを思った静かな午後でした。

最後までご覧いただきありがとうございます。


2025/10/29

10月29日(水) カフェテリア・マリアで朝食

朝からしとしとと雨が降っている。今日は一日中、この優しい雨が続くらしい。

山にとっては、まさに恵みの雨だ。乾季が長引いて乾燥していたので、こうして静かに地面へ染み込んでいく雨は、植物にも土にもありがたい。激しく叩きつけるような雨ではなく、静かに、確実に潤すような雨。そんな雨の日を待ち望んでいた。

朝食をとりに、「カフェテリア・マリア」へ出かけた。

ここでいただく“モジェテ(Mollete)”という丸い薄焼きパンが、とても気に入っている。半分に切って軽くトーストし、オリーブオイルとトマトの摩り下ろしをたっぷり塗り、そしてほんの少し塩を振る。それだけなのに、驚くほどおいしい。素材が生きている味だ。

一緒に行ったのはイギリス人のリンダ。

村で英会話の先生をしていて、私のオンラインの生徒さんとも会話をたまにしてもらったりもする。旅行関係の仕事の経験もあり、物書きとしての顔も持つ女性だ。話していると、世界の広さと人生の深さを感じる。

シベリア鉄道の話から

朝のカフェでの話題は、トランス・シベリア鉄道。

彼女はその列車に何度か乗ったことがあるという。モスクワから極東まで、何日もかけて走る長旅。しかも仕事でお客さんを連れて行ったそうだ。私はすぐに、昔出会った二人の旅人のことを思い出した。

ひとりは、1988年の秋、ウィーンで出会った女性。

当時私は鉄道を利用してヨーロッパを一人で旅していた。東欧から戻りウィーンに滞在していたとき、同年代の日本人女性と出会った。夕食を一緒にしたのか、コーヒーだけだったかは、今になっては思い出せない。

彼女は、「シベリア鉄道を利用してヨローッパに入り、このまま陸路でアフリカに入り、バスで縦断する」と話していた。私も一人旅、彼女も一人旅、ただアフリカ大陸に行く勇気は当時の私にはなかった。もしまた彼女と会えるチャンスがあったらアフリカ旅行の話を聞かせてもらいたい。

もうひとりは古い友人。

ソ連時代の80年代にトランス・シベリアに乗ったことがあり、「かなりきつかったよ」と笑っていたのを思い出した。駅に止まっても観光はできず、30分ほどの休憩でまた出発。そんな生活を何日も続けるのだから、確かに過酷だ。

今度リンダに会ったら、どんなクラスの車両に乗ったのか、どんな部屋だったのか、どんな食事がでたのかなど、色々聞いてみようと思う。

私の夜行列車の思い出

列車の旅というと、子どものころの夜行列車を思い出す。

夏休みになると、母の実家へ行くために夜行に乗った。カーテンの隙間から夜の景色を眺めながら、窓辺でうとうとしたあの時間。いまでも鮮明に覚えている。

中学生の頃には、従兄と二人で夜行に乗ったこともあった。

今思えば私は少し良い寝台を用意してもらったらしい。ベッドの頭の方に窓があるのではなく、横に大きな窓があって、寝具も着替えもちゃんと用意されていた。眠るのがもったいなく、窓の外を眺めていた、ちょっとした旅の贅沢を味わった。

ヨーロッパを旅したときにも夜行を利用した。

ベルリンへ向かう列車では、3段ベッドの狭い寝台で、何もなくただ横になる感じだった。3段目に寝たので、随分高かった記憶がある。車掌さんがやってきてパスポートを預けなくてはならず、少し不安な夜を過ごした。途中列車が停まり、そっと窓の外を見ると東ドイツの兵隊さんが列車を検査していた。ベルリンの壁が崩れる約1年前。

もう一度はロンドンからエジンバラへの夜行列車。二段ベッドの個室で小さな洗面台が付いていた。私は下の段のベッドで、もう一人はご年配の女性。車掌さんが一緒にいて、下の段を譲ってほしいと言われ、私は上のベッドへ移動。喜んでいたその女性の笑顔が今でも忘れられない。

どの旅も、小さな出来事が心に残っている。

雨の中を歩いて帰る

カフェを出ると、雨はまだ静かに降り続いていた。

車で来ようか少し迷ったけれど、やっぱり歩いて来て良かった。帰りものんびりと、濡れた石畳を踏みしめながら、さっきまでの会話を反芻する。トマトの酸味、コーヒーの香り、列車の窓の風景――それらが混ざり合って、ひとつの小さな旅のような朝だった。

最後までご覧いただきありがとうございます。

2025/10/28

10月28日(火) スペインの山村で迎える雲海の朝

朝、目を覚ますと、窓の外に薄く漂う雲の帯が見えました。

「雲海」と呼ぶのがふさわしい、静かで幻想的な光景。

東の空が少しずつ赤く染まり、雲の間から朝日がのぞくその様子は、何度見ても心が澄んでいくようです。

私の住むこの村は、標高650メートルほどの小さな白い村。

昔、岐阜からいらした方が「金華山より高いんですね」と言っていたのを思い出します。

霧が下にたまると、谷の方にある別の村がすっぽりと霧に包まれ、まるで物語の中の世界のようになります。

今日は一日曇りの予報。夜には雨が降るかもしれないとのことですが、今年は雨の季節がずいぶん遅れています。

思えば、去年までは9月の半ばにはまとまった雨が降っていたのに、今年は10月も終わりかけて、ようやく空気に湿り気を感じるようになりました。

おかげで寒くなるのも遅く、私にとってはありがたいこと。

村の家の床はタイル張りで、夏はひんやりと気持ちがいいのですが、冬になると底冷えします。

暖房設備もあまり整っていないので、秋のうちはまだ電気ストーブでしのげますが、冬になるとガスストーブを使います。

ただ、締め切るとガスが心配なので、換気を兼ねて隙間風には目をつむります。

ここで暖炉を使っているご家庭もありますが、手入れが大変なのです。

火が消えないように絶えず注意していないといけないし、たまに煙が家の中に入ってくるし、なので私は暖炉はいらないです^^。

そんなふうに、ゆるやかに季節が移ろっていくのを肌で感じながら、日々を過ごしています。

2025/10/27

10月27日(月) バルの昼下がりと秋の空気

秋になると、空気が澄んで、朝の散歩が格別に気持ちよくなります。

スペインの白い村ではこの季節、雨上がりのしっとりとした空気と、日差しの温かさが混ざり合って、村全体が穏やかな光に包まれます。

今日はそんな静かな朝の散歩の途中で感じたこと、そしてのんびりと過ごした週末を、ひとつの記録として残しておきたいと思います。

海外での暮らしの中で出会う人々や季節の変化――そんな小さな日常が、気づけば一番豊かな時間なのかもしれません。

晴れ間の散歩と、予想外の天気

今朝は散歩に行きました。動画に収めるか、録音するか悩みましたが、スマホで録音して、それを元にブログを書こうと思ったのです。

スマホの天気予報では「今週は雨続き」だと表示されていたのに、土曜日の夜中に雨が降り、昨日の日曜日はほんの少し降っただけでした。

そして今朝は、まるで嘘のように青空が広がっています。

気温もそんなに下がらず、散歩中の人たちは半袖のTシャツ姿。私は長袖に軽い羽織りを肩にかけて歩いていますが、それでもちょうどいいくらい。

雨上がりの空気は少しひんやりして、でも太陽の光がやわらかくて、とても気持ちがいい朝です。

散歩しながら考える

これからは散歩をしながら、ブログやYoutubeのネタを考える日課にしようと思っています。

録音しておくと、後でまとめやすいし、歩きながら思考を整理するのも心地よい。

スマホの録音機能が本当に便利です。ここは人も少なくスマホを持って歩いていても危なくないので安心。

都会に行くと、スリやひったくりを心配してスマホの扱いに気を使いますが、ここではその心配はありません。

10年くらい前ですが、ロンドンの友人がスマホの地図機能を見ているときに、自転車に乗った人からスマホをひったくられた出来事があったんです。

それ以来、都会ではスマホを公共の場で見るときは最善の注意を払います。写真やビデオはできるだけカメラを使います。カメラの場合はもし盗難にあっても、カメラとメモリだけの被害ですが、スマホだとあらゆるものがなくなるので、それは非常に困りますよね。

このスペインの田舎の白い村では、そういう心配がないので安心して散歩ができます。

秋の心地よさと、バルでの夜

秋の散歩は本当に気持ちがいいですね。

愛犬がいたときは、夏は朝7時半を過ぎるともう暑くて散歩も大変でしたが、この時期だと気お持ちよく散歩できたな〜、なんてついつい彼女を思い出し涙腺が緩みます。

土曜の夜は、一人でバルに飲みに行きました。

外のテラス席で、「涼しくもなく寒くもない、ちょうどいい夜で過ごせるのも今年最後かな」なんて思いながら飲んでいました。

ビールの二本目を飲み終わろうとしていたころ、他のバルで働いているシェイナちゃんがやってきました。挨拶したくらいで話をするわけでもないのですが、一本ご馳走してくれたんです。

それならもう少しゆっくりしていくかな、と思っていた頃、今度は友人の息子くんがやって来ました。

若い世代との会話からもらう刺激

彼はお母さんがスペイン人で、お父さんがイギリス人。

仲の良い友人の息子くんなので私にとっては甥っ子のような存在です。

普段は英語で話しますが、ところどころスペイン語が混じります。

日曜日はちょっと豪華なランチでも行きたいなと思っていたので誘うことにしました。いつもだったら友人を誘うのですが、彼女は今はマドリードにいるのです。

「ご馳走するから行こうよ」と言ったら、「近所のいつものバルでいいよ」と。地元の年配の方たちが集まるような、素朴で温かいバルで、お値段も非常に手頃です。そこに行くことになりました。

雨が降りそうな空模様でしたが、バルのパティオで食事。


デザートの頃に少し雨が降りましたが、パラソルの下なので濡れることもなく、コーヒーを飲みながら、他愛もない話をしました。

若い人の話を聞くと、いつも刺激をもらえます。

彼は今、IT系の資格試験に向けて勉強していて、来年2月にはマドリードに戻る予定だそうです。

スペインに長く住んでいても、スペイン語が流暢ではない私にとって、英語で話せる若者の存在は貴重。

新しい話題や感覚を教えてくれる、いわば“情報の窓口”のような存在です。

アイルランドの結婚式の話

そんな彼が最近、アイルランドで幼なじみの結婚式に出席したそうです。

ご両親が90年代の紛争の時期にイギリスへ避難した方の息子さんだそうです。

その頃のことは衝撃的だったので、あの中を避難してイギリスに渡ったのかと想像すると胸が痛みます。

そのお相手がアイルランド人女性のため、結婚式はダブリンから車で1時間ほどの場所で行なわれたそうです。

私の友人の息子くん自身は社交的ではないので、結婚式に参列するか悩んだようですが、一緒に行った妹ちゃんがとても明るい女性なので、彼女に助けられて楽しい時間を過ごせたそうです。

そんな話をしながらランチを終えました。

そして今朝は、友人の息子ちゃんと楽しいランチを一緒にしたことなどを思い出しながら、秋の気持良い朝の散歩を楽しみました。

最後までお読みいただきありがとうございます。