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【村の行事】2026年
祝日2月28日(土) Dia Andalucia、3月7日〜8日 カーニバル(予定)

2026/02/16

2月16日(火) 谷に、100年眠っていたダムが目を覚ました日

今日は強い風が吹いています。

窓を大きく開け放つには少し強すぎるけれど、ほんの少しだけ開けておくと、家の中にこもった湿気を一気に吹き飛ばしてくれます。

そんな午後、3時前のことでした。

一瞬、グラグラっと揺れたのです。外にいたら、おそらく気づかなかったでしょう。それほど小さな揺れでした。

けれど、連日の大雨のあとです。

まだ地面も、空気も、どこか落ち着かないまま。嵐の影響は、完全には去っていないのだと感じさせる瞬間でした。

今回やってきた低気圧の嵐

「レオナルド」と「マルタ」

山々を打ち続けた雨は、谷を満たし、川を膨らませ、そしてついに、「決して水が溜まらないはずのダム」を満水にしました。

私がここに移り住んでから、一度も水をたたえた姿を見たことがありません。

モンテハケ(Montejaque)ダムです。

いつもは乾いた谷に、巨大なコンクリートの壁だけが立っている。どこか未完成のまま時間が止まったような風景。

それが、溢れんばかりの水を抱えている。

その光景は、美しいというよりも、正直、怖いものです。

「もし決壊したら」

このダムは約100年、実質的に使われてこなかった構造物です。

内部のコンクリートが今どのような状態なのか、長年水圧を受けたことがない壁が、どこまで耐えられるのか。

誰にもはっきりとは分かりませんでした。

水位は堤体の上端まであとわずか。

緊張が走りました。

下流の川沿いに暮らす人たちには、予防的な避難措置がとられました。

静かな村に、アラートと不安が広がる。

歴史の遺物のようだったダムが、突然、現実の脅威になった瞬間でした。

そして、放水

「放水設備は本当に動くのか?」

そんな声も聞こえていました。

けれど最終的に、ダムに備えられていたサイフォン式の放水設備が作動し、水は制御された形で下流へと流されました。

決壊は起きなかった。

避難していた住民も、順次帰宅。今回の放水による被害は出ませんでした。

あの数日間、地域を包んでいた重たい空気が、少しずつほどけていくのを感じました。

安堵。

それがいちばん近い言葉かもしれません。

放水の様子

このダムの、少し皮肉な歴史

このダムは、現在の白い村モンテハケの郊外、コルテス村からは車で30分ほど。グアダレヴィン川の峡谷に建設されました。

計画が始まったのは1920年代。

その後、内戦と独裁のフランコ時代を経て完成します。

目的は、水力発電と灌漑。

当時としては未来を見据えた巨大プロジェクトでした。

しかし完成後、水を貯めてみると、水は地中へと吸い込まれていったのです。

この一帯は石灰岩のカルスト地形。

地下には空洞が広がり、水はそこへ消えてしまう。

結果、ダムは正式に運用されることなく、約100年もの間、「空っぽのまま」谷に立ち続けました。

巨大な失敗作。

あるいは、時代の遺構。

それでも、あの日、皮肉なことに、気候変動がもたらす極端な豪雨が、その「失敗作」を初めて満水にしました。

地下の空洞に流れた雨水が飽和状態になり、ダムに水が溜まったのです。

自然の力が設計の想定を超えた瞬間。

そして同時に、放水という形で、人の手もまた機能しました。

100年間眠っていたダムが、初めて本当に「試された」冬。

何も起こらなかったこと。

それが、どれほど幸運だったか。

谷に立つあのコンクリートの壁を見る目は、もう以前とは少し違っています。

あれは単なる「幽霊ダム」ではなく、歴史と自然と人間の選択が交差した場所なのだと、この冬、私たちは知ったのです。

モンテハケ村の音楽フェス

最後までお読みいただきありがとうございました。