朝起きて朝食を済ませたあと、隣村の駅まで出かけました。
駅の近くには川が流れています。少し前の嵐の時、この川は水が一気に増えて氾濫し、周辺に被害が出ました。普段は静かな川でも、雨が続くとまったく違う姿になります。スペインの田舎に暮らしていると、自然がすぐそばにあることをこういう時に強く感じます。
川は、すでにいつもの姿に戻りつつありました。それでも水量はまだ多く、流れも速く、嵐の名残が残っていました。水面を眺めながら歩いていると、二月の激しい雨と、いま目の前にある穏やかな景色が重なって見えます。
スペイン旅行というと、青空、広場、バル、歴史ある街並みを思い浮かべる方が多いと思います。けれど、小さな村の川辺にも、その土地の日常があります。観光名所ではなくても、こういう場所を歩くと、暮らしの中のスペインが見えてきます。
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| まだへその緒が付いている子羊 |
川の近くをぐるりと一周しました。全部で三十分ほどの散歩です。水の音を聞きながら歩き、涼しい空気を感じて、また村へ戻りました。特別なことをしたわけではありませんが、旅先でこういう道を歩く時間があると、その土地の印象は少し変わると思います。
散歩のあとは、村で人気のあるレストランで昼食をとりました。家族連れや近所の人たちが集まり、急ぐことなく食事をしています。
私たちが注文したのは、プルポ(タコ)
ガンバス・アル・ピルピル。いわゆるエビのアヒージョです。
メインはイベリコ豚のセクレトでした。
セクレトは霜降りのように脂が入り、やわらかい部位です。
食事を終えて家に帰る前に、プールの近くにあるバルに立ち寄りました。そこにイギリス人のマルコスとアレックスがいたので、一緒にビールを飲みました。
この村では、こういう偶然がよくあります。約束をしていなくても、バルに行けば誰かがいる。少し座って、飲み物を頼み、近況を話す。それだけで午後が過ぎていきます。
家に戻ってからは、ゆっくりとYouTubeを見ました。その時、普段自分がどんな動画を見ているのかを友人に見せました。
YouTubeはテレビとは違います。テレビは自分が選ばなくても、いろいろな番組が流れてきます。一方でYouTubeは、自分の興味に近いものばかりが表示されます。その分、気づかないうちに見るものが偏っていきます。
だから、友人と「普段何を見ているのか」を見せ合うのは、ちょっとした情報交換になります。自分では選ばない動画や考え方を知るきっかけになるからです。スペインの暮らしというと、外で人と会う時間が印象に残りますが、家で過ごす時間にもその人の日常が出ます。
マラガやセビリアで過ごしてから村に戻ると、やはり涼しく感じます。寒いわけではありませんが、今年は暖かくなるのが少し遅いようです。それでもこの時期は暑すぎず、寒すぎず、歩くにはちょうどいい季節です。
もうひとつ気になっているのは、花粉症です。例年なら五月十日ごろには目が痒くなり始めるのですが、今年はまだその反応が出ていません。どうやら少し遅れているようです。天気や植物の状態は年によって変わるので、同じ季節でも毎年まったく同じではないのでしょう。
二月の嵐で氾濫した川を見に行き、村のレストランで昼食をとり、バルで友人とビールを飲み、家で動画を見ながら過ごす。
旅行から戻ってきて、少しずつ日常に戻っていく。そんな一日でした。





