この日は昼頃まで雨が降っていました。5月とはいえ、空気はまだ少し冷たく、なかなか春らしい明るさが戻ってきません。
そんな雨の日曜日、私は残っていた掃除を済ませました。
掃除が一段落したあと、今度は車の確認をすることにしました。翌日、もしかすると少し長距離を運転するかもしれなかったからです。自分だけで判断するのは少し不安だったので、友人に頼んで、オイルや水を見てもらいました。
本当は、もう少し前にオイル交換をしておきたかったのです。ところが、つい後回しにしてしまい、そのままになっていました。
車を使って生活していると、こういう小さな整備を先延ばしにしてしまうことがあります。けれども、長距離を走る可能性があるとなると、急に気になってくるものです。
友人に見てもらうと、「まだそこまで汚れていないから、今すぐ交換しなくてもいいんじゃないか」と言われました。
少し安心しましたが、それでもやはり、近いうちに交換しようと思います。スペインの地方で暮らしていると、車は生活の足です。
町から町へ移動するにも、買い物へ行くにも、誰かに会いに行くにも、車があるかどうかで自由度が大きく変わります。だからこそ、きちんと手入れをしておかなければなりません。
車を見てもらったあとは、友人たちとしばらく過ごし、ビールを飲んでから家に戻りました。
雨上がりの午後に、こうして人と会って少し話す時間があると、慌ただしい準備の中にも気分転換が生まれます。
スペインでは、用事のついでに少し立ち話をしたり、飲み物を一杯飲んだりする時間が自然に入り込んできます。
さて、問題は翌日の移動です。私はマラガへ行く予定です。
最初は朝一のバスで出ようかと考えていました。早く出れば、その分早く着きますし、一日を有効に使えるような気もします。けれども、朝早くから動くとなると、それだけ準備も慌ただしくなります。
次に考えたのは、自分の車でロンダまで行き、そこからバスに乗る方法でした。昼前にロンダへ向かえば、朝一番ほど無理をせずに済みます。車でロンダまで行くこと自体は、それほど問題ではありません。問題は、そのあとです。
ロンダは観光客の多い町です。ヌエボ橋や旧市街を目当てに、多くの人が訪れます。車も多く、駐車場所を探すのがなかなか大変です。
旅行で訪れる方も、ロンダへ車で行く場合は、駐車場のことを軽く考えないほうがいいと思います。
少し離れた場所なら停められることもありますが、そこからバス停や目的地まで歩かなければならないこともあります。荷物がある日には、それだけで気が重くなります。
そうやって、朝一番のバスにするか、車でロンダまで行くか、あれこれ考えているうちに、第三の案が出てきました。友人が急きょ予定を変更し、自分の国へ帰るために空港へ行くことになったのです。
家のことで大変なことが起こったようで、飛行機に乗るためマラガ空港へ向かうとのことでした。
その友人はすでに車を手配していました。私はもともと、どうせマラガ空港へ行かなければなりません。それなら、一緒に乗せてもらい、費用を半分負担すればよいのではないかと思いました。
決して安くはありませんが、朝早くからバスに乗る負担や、ロンダで駐車場所を探す手間を考えると、悪くない選択です。
移動には、いつもお金だけでは測れない部分があります。安く行ける方法を選べば、その分、時間や体力を使うことがあります。
反対に、少し費用をかければ、乗り換えの不安や駐車場探しのストレスから解放されることもあります。今回はまさに、時間と労力をお金で買うような形になりました。
スペインを旅行していると、こうした判断をする場面は意外と多いと思います。バスや電車での移動は便利な一方で、本数が少なかったり、乗り換えの時間がぎりぎりだったりすることがあります。
地方の町をまわる旅では、車があると自由に動けますが、観光地では駐車場に悩まされることもあります。どちらが正解というより、その日の体調や荷物、天気、時間の余裕によって、選ぶべき方法が変わってくるのです。
今回は、無理をせず、楽をしてマラガ空港まで行くことにしました。少し高くても、安心して移動できるなら、それも大事な選択です。旅の前から疲れ切ってしまっては、せっかくの時間を楽しめません。
雨の日曜日に掃除をし、車のオイルと水を確認し、友人とビールを飲み、そして翌日の移動手段を決める。一つひとつは小さな出来事ですが、そこにはスペインで暮らす日常の現実があります。美しい景色や楽しい旅の裏側には、こうした準備や迷いもあります。
それでも、誰かの予定と自分の予定が偶然重なり、うまく道が開けることもあります。予定どおりにいかないことが多い一方で、人とのつながりによって何とかなることも多いのが、スペイン暮らしのおもしろさです。明日は、少しだけ楽をして、マラガ空港へ向かいます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

