朝は遅めのスタートです。まず向かったのは、中華系のスーパーでした。デパートのエル・コルテ・イングレスの近くにある店で、商品が豊富なので、セビリアに来た時は必ず立ち寄るようにしています。
そこで買ったのは、出前一丁。香港の日清の製品で、香港に住んでいたころからよく利用していたものです。スペインにいても、こうした懐かしい味を見つけると、つい手に取りたくなります。そのほかにも、荷物にならない程度に少し買い物をしました。
そのあと、朝食を食べに行きました。注文したのは、パンにローストしたようなハムとトマトが挟まったものです。スペインではよくある、シンプルでおいしい朝食だと思っていたのですが、食べてみると中にパテも入っていました。ハムとトマトだけだと思っていたので、少し予想外でした。おいしくないわけではないのですが、パテの香りが少し苦手でした。
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| 朝食を食べながら老舗時計店のメディア撮影風景を見学 |
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| 老舗文房具店にTVレポーター |
一度宿に戻って荷物を置き、それからセビリア大聖堂へ向かいました。
大聖堂の前には、すでにたくさんの人が並んでいました。最初はその列に並んでいたのですが、どうやらインターネットでチケットを購入した人たちの列のようでした。念のため近くの人に聞いてみると、やはりネット予約をした人の列だとのことです。
「当日券はもう無理なのかな」と思ったのですが、少し離れたところに当日券を売っている場所がありました。行ってみると、そちらのほうがずっと空いています。今は多くの人が事前にネットでチケットを買うので、予約者の列のほうが長くなっているのかもしれません。
チケット売り場へ行く前には、荷物チェックがありました。いつから始まったのでしょうか。私が前回来た時にはなかったように思います。観光地の仕組みも、少しずつ変わっていくものです。
当日券の列に少し並ぶと、そのまますぐに中へ入ることができました。結果的には、とてもいいタイミングでした。
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| 当日券窓口の前、工事中なので塔の上のがここに展示されています。 |
セビリア大聖堂は、何度訪れても圧倒されます。
中に入った瞬間、その広さと高さ、重厚な空気に包まれます。観光名所として有名な場所ですが、実際にその場に立つと、やはり写真だけでは伝わらない迫力があります。
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| コロンブスの棺 |
大聖堂を見学したあとは、ヒラルダの塔に上りました。塔の上へ向かう道は、普通の階段ではなく、ゆるやかな坂道のようになっています。最後だけ階段がありますが、それまではぐるぐるとスロープを上っていく形です。
上るにつれて少しずつ息が切れてきますが、そのぶん上に着いた時の景色は格別でした。セビリアの町が一望でき、屋根の色や通りの形、大聖堂の大きさを改めて感じることができます。
ちょうど塔の上にいる時に、鐘が鳴りました。大きな音が近くで響き、その迫力に驚きながらも、こういう偶然に出会えるのは旅の楽しさだと思いました。鐘の音を聞きながら見るセビリアの景色は、とても印象に残りました。
塔を下りてくると、入った時よりもさらに人が増えていました。ちょうどこちらの昼食時間に近づいていたこともあり、大聖堂の中も周辺もかなり混み合っています。そう考えると、昼食時間帯に入る前に見学できたのは正解でした。
次に向かったのは、アルカサルです。
ただ、その前に少しだけビール休憩をしました。朝から歩き続けていたので、ここで冷たいビールを一杯飲むと、体も気分も少し落ち着きます。スペインの観光では、この小さな休憩がとても大事です。
アルカサルには、以前にも一度来たことがあります。スペインに来てから二年ほど経ったころだったと思います。その時も中には入ったのですが、昔のことなので、正直なところあまりはっきりとした記憶が残っていませんでした。
今回、改めてゆっくり見てみると、本当に素晴らしい場所でした。
イスラム文化の影響を感じるタイル装飾や細かな模様、建物の造りがとても美しく、見ていて飽きません。壁の装飾も、天井も、庭に続く空間の作り方も、細部まで手が込んでいます。
グラナダのアルハンブラ宮殿を思わせるような雰囲気もありました。もちろん規模や印象は違いますが、セビリアのアルカサルにも、アンダルシアらしい歴史の重なりと美しさがあります。建物の中を歩き、庭へ出ると、町の中心にいることを忘れてしまうような落ち着きがありました。
.庭には孔雀が何羽もいました。人に慣れているのか、近くを人が通っても逃げることなく、悠然と歩いています。美しい建物や庭園だけでなく、こうした何気ない光景も、アルカサルの記憶として残りました。
観光地として有名な場所をいくつか回ったあとは、友人のローラと待ち合わせをしました。
ローラは、観光客があまり通らないような小さな道をいろいろ案内してくれました。セビリアの中心部は有名な観光地だけでも十分に見ごたえがありますが、地元の人と歩くと、また違った町の顔が見えてきます。
細い道を抜けたり、少し奥まった場所にあるバルに入ったりすると、観光として見るセビリアではなく、人が暮らしている町としてのセビリアを感じます。ローラに連れて行ってもらったのは、地元の人が集まるような小さなバルでした。
そこでビールを飲み、タパスを食べました。昼間に大聖堂やアルカサルを歩き回ったあとだったので、冷たいビールがとてもおいしく感じます。観光でたくさん歩いたあとに、地元の友人とバルで休む時間は、旅の中でも特別です。
そして夜は、宿のすぐ近くにある「1987」というディスコのような店に入りました。
セビリアで観光をして、アルカサルを見て、地元のバルで飲み、最後にディスコに行く。考えてみれば、かなり盛りだくさんの一日です。店では少し飲み、音楽に合わせて踊りました。現地の人たちとも少し踊り、思いがけず楽しい夜になりました。
ただ、そんなに遅くまではいませんでした。たぶん夜の12時過ぎくらいだったと思います。友人のほうが先に酔ってしまい、「もう帰る」と言って先に宿へ戻っていきました。
私は、ローラがタクシーを呼んでいたので、タクシーが来るまで一緒に待っていました。そのあと宿に戻ろうとしたのですが、そこで少し問題が起きました。
酔っていたこともあり、宿の入口の暗証番号がなかなか見つかりません。携帯を見ながら一生懸命探し、ようやく番号を打ってみたのですが、ドアは開きませんでした。
外から見ると、先に帰った友人が宿の中を歩いているのが見えました。私は外から一生懸命手を振りましたが、もちろん向こうは気づきません。夜のセビリアで、宿の前に立ちながら必死に暗証番号を探している自分が、だんだんおかしくなってきました。
もう一度よく探してみると、どうやら別の番号もありました。そちらを試してみると、なんとか中に入ることができました。友人は中の扉を閉めずにいてくれたようで、それにも助けられました。
部屋のドアも鍵はかかっていなかったようですが、その時はわからなかったので、私はドアをどんどん叩きながら「開けて、開けて」と言っていました。ようやく中に入ることができ、ほっとしました。
少し酔っぱらい、少し迷い、少し焦りましたが、振り返ってみると、それも含めて楽しい夜でした。
セビリアは、歴史ある建物の美しさだけでなく、路地を歩く楽しさや、人と会って飲む時間、夜の賑やかさまで含めて魅力のある町です。大聖堂の鐘の音を聞き、アルカサルの庭で孔雀を眺め、友人とビールを飲み、最後には宿の暗証番号と格闘する。そんな出来事が重なって、この日のセビリアは、また忘れられない一日になりました。

























