朝から曇り空で、この日は一日、特に出かけることもなくのんびり過ごしました。
今回ペットシッティングをしている家には、住居の隣に宿泊客へ貸し出しているスペースがあります。全部で3室あり、そのうち2室は小さなキッチン付きのワンベッドルーム、もう1室はキッチンのないワンベッドルームです。
その一室に、金曜日から一組のカップルが泊まっていました。車のナンバープレートを見ると、ジブラルタルのものでした。
私が宿泊客のためにすることは特にありません。到着時間が遅かったので、電気を付けておいたくらいです。帰る時も鍵を所定の場所に置いてもらうだけなので、この日も特に何かする必要はありませんでした。
ただ、宿泊客がいるのを見ていて、以前から少し面白いと思っていたスペインの宿泊事情を思い出しました。
スペインでは、ホテルは当然ですが、民泊などに泊まる際、宿泊者の情報を全員分登録する必要があります。
最近ではその手続きもオンライン化され、宿泊前に送られてきたサイトにパスポートなどの情報を自分で入力することも珍しくありません。
以前、フランス人の友人とマラガやセビリアへ旅行した時も、私のところへ登録用のリンクが送られてきました。それを見た友人は少し驚いて、
「こんなにいろいろ書くの? 大丈夫?」
と尋ねてきました。
スペインでは宿泊施設が宿泊客の情報を警察に届けることになっているので、特に不思議なことではないと説明しました。
一方、その友人と今年7月にフランスを旅行した時は、まったく事情が違いました。
予約はすべて彼女がしてくれていたのですが、ホテルでも私のパスポートを見せるように言われませんでした。
途中で民泊にも泊まりましたが、そこでも私自身について何か尋ねられることはありませんでした。
最初と最後に泊まったのはホテルでしたが、どちらでも身分証明書の提示を求められませんでした。少なくとも宿泊者である私から見ると、「自分がここに泊まった」という情報をどこにも登録していないようで、不思議な感覚でした。
国が違えば、同じヨーロッパでもこうした仕組みはずいぶん違います。
スペインの宿泊者登録の話から、以前この村を訪れた日本人の方に聞いた話も思い出しました。
その方は1970年代、まだフランコ政権の時代にヨーロッパを旅行し、スペインにも滞在したそうです。
当時は宿に泊まっていると毎日警察が確認に来て、本当に本人がそこにいるのか、パスポートを確認されたと話していました。
今ではオンラインで情報を登録できるようになりましたが、昔々は実際に警察官が宿まで確認に来ていたわけです。
その話を聞いた時には、「そんな時代があったんですか」と驚きました。
もちろん、現在のスペインとは政治体制も社会の雰囲気も大きく異なります。それでも、宿泊者情報を登録する仕組みが今もあることを考えると、昔からの制度が形を変えながら続いているのだろうなと思います。
さて、この日の宿泊客は夕方5時頃には帰ると聞いていました。
ところが5時を過ぎても車はまだあり、結局出発したのは7時頃だったと思います。
とはいえ、ここからジブラルタルまでは車で1時間半ほどです。国境での通過手続きがなくなったので渋滞もしないはず。それほど急いで帰る必要もなかったのでしょう。
ゆっくりしてもらうこと自体は、もちろん何の問題もありません。
ただ、宿泊客がいる間は、こちらも何となく気を遣います。
普段ならiPadをテレビにつなぎ、大きな画面でYouTubeなどを見るのですが、近くに宿泊客がいると、さすがに音を大きくするわけにはいきません。この数日はずっとiPadの小さな画面で静かに見ていました。
しかも、宿泊客は犬を連れて来ていました。
私がペットシッティングをしている犬より一回り小さいくらいの犬です。特に問題が起きたわけではありませんが、せっかく泊まりに来ている人やその犬を、こちらの犬が邪魔してもいけません。そのため、こちらの犬もあまり自由に外へ出せませんでした。
そんなわけで、宿泊客が帰った後は、少し開放感がありました。
犬も気兼ねなく外へ出せるようになり、私はiPadをテレビにつないで、ようやく大きな画面と少し大きめの音でYouTubeを見ました。
特に何も起きなかった静かな日曜日ですが、スペインとフランスの宿泊事情や、半世紀前のスペイン旅行の話まで思い出した一日でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

