この日は昼前に、友人の家へ少しだけお邪魔しました。目的は、最近皮を剥がされたコルクの木を見ることでした。
南スペインの山あいに暮らしていると、コルクの木はとても身近な存在です。けれども、皮を剥がしたあとの姿は、何度見ても見入ってしまいます。
普段はごつごつした木肌をしているのに、皮を剥がされた部分は、まるで日焼けしたあとの肌のような色になります。サーモンピンクのような、少し赤みを帯びた明るい色です。
剥がされたばかりのところを触ると、ひんやりしていて、少し水分を含んでいるような感触があります。木が生きていることを、手のひらで感じるような不思議な感覚です。
ただ、この日に見たものは、剥がされてからもう数日たっていたようで、最初の水っぽさは少し抜けていました。それでも色はまだとてもきれいで、光の中で見ると、コルクの木ならではの生命力のようなものを感じました。
友人の家の敷地には、ほかにもコルクの木が何本もあります。けれども、今年はすべてが剥がされていたわけではありませんでした。話を聞くと、どうも根元のあたりに病気が広がっているようで、枯れ始めている木もあるそうです。
そうなると、皮を剥がすどころではありません。しばらくしたら、その木は切らなければならないのかもしれません。半分ほどの木が剥がされずに残っていたのは、そういう事情があったからのようでした。
今年はもしかすると、取れるコルクの量が少ないのかもしれません。毎年当たり前のように見ている風景でも、木の状態や天候によって、少しずつ変わっていきます。スペインの田舎にいると、そうした変化が暮らしのすぐ近くにあります。
友人の家へ向かう途中には、とても大きなコルクの木がありました。年数ははっきり分かりませんが、もしかすると250年くらいたっているのではないかと思うほど、立派な木です。
その木はきれいに皮を剥がされていて、幹には鮮やかな色が出ていました。形も本当に美しく、ただそこに立っているだけで存在感があります。
そのあとは家に戻り、あとはほとんど洗濯をして過ごしました。日曜日らしいといえば日曜日らしい、地味だけれど必要な時間です。
もうひとつ、この日は少しほっとすることがありました。ずっと気になっていた銀行アプリの「保留中」の表示が、ようやく消えたのです。
ここ2週間ほど、銀行アプリには未処理の知らせが残っていました。自分の職業活動に関する書類を提出する必要があり、アプリからも送っていたのですが、なかなか処理済みになりませんでした。
金曜日に銀行から電話があり、その時に「メールでも送ってください」と言われました。そこで、再度、その書類をメールで送りました。
それがようやく確認されたようで、アプリの中に残っていた保留表示が消えました。こういう小さなことでも、ずっと残っていると気になります。画面を見るたびに、まだ終わっていない用事を突きつけられているような気分になるからです。
ようやくそれが消えて、かなりすっきりしました。
それにしても、私はこの銀行の手続きはスマホのアプリでしかできないと思い込んでいました。ところが友人に、「パソコンのウェブサイトからも開けるよ」と言われました。
思わず「本当に?」という気持ちになりました。今までずっと使っていたのに、私はスマホのアプリだけが入口だと思っていたのです。今度、パソコンからも試してみようと思います。
こういうことも、暮らしている中ではよくあります。分かっているつもりでも、実は知らないことがまだまだある。特にスペインで銀行や役所の手続きをしていると、小さな発見と小さな疲れが交互にやってきます。
また明日から、新しい1週間が始まります。
この日は風がありました。日差しは強く、外に出れば暑いのですが、風が吹くとまだ少し涼しさも感じます。暑いけれど、風は涼しい。そんな初夏らしい一日でした。
これからまた、どんどん暑くなっていくのだと思います。南スペインの夏は、少しずつ近づいてくるというより、気がつくと一気に目の前に来ていることがあります。コルクの木の鮮やかな色も、洗濯物がよく乾く日差しも、そんな夏の始まりを感じさせるものでした。



