この日は朝から、再び海側の町、プエルト・バヌース方面へ行ってきました。
日本から来ている知人の体調があまり良くなく、薬のことで対応が必要になったためです。
その方は病気の後遺症による痛みがあり、日本から痛み止めをはじめ、何種類かの薬を持参していました。日本で処方してもらった薬は、一回分ずつ小分けにされた状態で渡されていたそうです。
以前、私の村に遊びにいらした日本人の薬剤師さんから、日本では薬を数日分を小分けして渡すことが多いため、場合によっては間違いが起こる可能性もある、という話を聞いたことがあります。
スペインでは少し事情が違います。こちらでは、薬局で薬を箱ごと受け取るのが一般的です。必要な日数分だけ取り出して小分けにしてもらうのではなく、それぞれの薬が元の箱に入ったまま渡されます。なので約1か月分です。
今回は、持参した薬が足りなくなったということで、どうするかを考えなければなりませんでした。
まず近くの薬局、スペイン語でファルマシアへ行きました。薬の説明を見せて相談すると、「これは出せるけれど、こちらは処方箋が必要です」と言われました。
そこで、車で20分ほどの場所にある私立病院へ行くことにしました。
スペインには公的医療と私立医療があり、今回利用したのは私立病院です。
公的医療の場合、スペインの社会保障制度の対象になっていれば自己負担なしで受診できるますが、専門医や大きな病院を受診するには、まず近くのCentro de Salud(セントロ・デ・サルー)と呼ばれる診療所へ行き、医師を通じて予約を取ることが一般的です。
一方、私立病院は費用が掛かるものの、今回のように急いで診てもらいたい時には利用しやすいと感じました。もちろん、民間の医療保険に加入している場合は契約内容によって負担も変わります。
病院に着いたのは午後2時を過ぎていました。
受付ではすぐに車椅子を用意してくれ、スタッフの方々も皆にこやかでした。診察してくださった先生もとても感じがよく、今回は詳しい検査をするというより、現在服用している薬を確認して処方箋を書いていただくことが目的でした。
幸い、日本から服用中の薬について英語で説明した書類を持参していたため、それを見せながら話を進めることができました。
診察料は250ユーロ少々でした。
さらに、その処方箋を持って再び薬局へ行きます。今回はスペインの公的医療制度を利用しているわけではないため、薬代もすべて実費です。
必要な薬を揃えると、約100ユーロになりました。
ただし、一種類だけ在庫がありませんでした。夜眠るために使っている薬です。それは100ユーロほどする薬だったようですが、薬局の方から、もう少し穏やかなタイプの商品なら約25ユーロであると勧められ、今回はそちらを購入しました。
診察と薬を合わせると、この日だけで350ユーロほど掛かったことになります。在庫のなかった薬まで購入していれば、450ユーロ前後になっていたでしょう。
日本円に換算すると、かなりの金額です。
海外で病院に掛かる時は、普段はあまり意識しない医療制度や保険の違いを、急に現実のものとして感じます。今回は特に、薬を切らしてしまったことから始まり、処方箋をもらうだけでもこれだけの費用が掛かるのだと実感しました。
それでも、処方された痛み止めを飲むと、知人は随分楽になったようでした。
少し安心したところで、今度は生活用品を揃えなければなりません。
その方は海側に家を持っていますが、これまで滞在するのは主に暖かい季節だったそうです。そのため、家の中には秋から冬に必要なものがほとんどありませんでした。
そこで、El Corte Inglés(エル・コルテ・イングレス)へ向かいました。スペインを代表するデパートの一つで、プエルト・バヌースにも高級感を感じる大きな店舗があります。
そこで羽毛布団とカバーを購入しました。さらに、家の中で着る厚手のガウンのようなものや、ジャケット、内側に着る薄手のセーターなども揃えました。
買い物を終える頃には、すっかり夕方です。
最後にアジアン・フュージョンのお店で料理をテイクアウトし、知人の家へ戻りました。
病院へ行き、薬局を往復し、冬物を買い揃え、食事を用意する。そんなことを一つずつ片付けているうちに、時間はあっという間に過ぎていきました。
すべてを終えて山の村へ戻った時には、夜11時になっていました。
ほとんど一日中、知人のための用事で動き回った金曜日でした。
それでも、この日の海側は過ごしやすい気温でした。青空が広がるような快晴ではありませんでしたが、寒さはなく、外を歩くにも丁度よい陽気です。
山の村とはまた違う穏やかな気候の中で、病院や薬局、デパートを行き来した一日となりました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。



