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【村の行事】2026年
祝日4月3日(金) Viernes Sano、3月29日(日)〜4月5日(日) セマナサンタ

2026/05/11

5月4日(月) 草刈りの音が聞こえるスペインの一日

今日は雲の多い一日でした。それでも、雲の切れ間からふと見える青空は、はっとするほど綺麗でした。厚い雲のあいだから光が差し込むと、空の奥行きまで見えるようで、何気ない景色なのにしばらく眺めていたくなります。

家の近くでは、いよいよ草刈りが始まりました。朝からずっと、ブンブン、ブンブンという機械の音が響いていました。このあたりでは、草刈りの音が聞こえ始めると、季節がまたひとつ進んだのだなと感じます。

とはいえ、こちらの作業はだいたい午後2時ごろには終わります。昼食を大切にするスペインらしく、外の音もその時間になるとすっと静かになるのです。

ただ、草刈りの季節は少し困ることもあります。刈られた草の破片や種のようなものが風に乗って飛んできます。洗濯物に付くのも嫌ですし、空気がもっと乾燥してくると、細かい草のかけらが光を受けてキラキラ舞うようになります。

見た目には綺麗なのですが、花粉症の身にはなかなかつらいものがあります。スペインの田舎暮らしは、自然が近いぶん、その自然の細かい変化が暮らしに直接入り込んでくるのだと思います。

昼間は太陽も出ましたが、今日はどこか冬のような寒さが残っていました。外に陽射しがあっても、家の中にいると冷えます。夜も寒く、空はまた曇っていたように感じました。

5月と聞くと初夏の気分になりますが、スペインでも場所によっては、まだまだ油断できません。旅行で来る方も、昼の明るさだけを見て薄着にすると、朝晩の冷え込みに驚くかもしれません。

そんな少し寒い日、近くの村に住む日本人の友人と電話で話しました。近く、と言っても、車で1時間ほどかかります。地図で見ると隣の村のようでも、実際に会おうとすると、そう気軽には行けません。スペインの田舎では、この「近いようで遠い」という距離感がよくあります。

その友人とは、少し前の嵐のときにも電話で話しました。彼女の家の近くで土砂崩れが起きている動画を見て、「これ、近くじゃないの?」と心配になって連絡したのです。すると、「目の前なのよ」と言われて、本当に驚きました。

最近まで、その土砂崩れの影響で道が塞がっていたそうです。彼女も私と同じくらい長く、もう20数年この土地に住んでいます。それでも、こんなことは初めてだと言っていました。

長く住んでいても、自然はときどき、こちらの想像を超えてきます。穏やかに見える村の風景も、大雨や嵐のあとにはまったく違う表情を見せることがあります。

旅行で訪れるスペインは、青空と陽気な広場、バルの賑わいという印象が強いかもしれません。でも、実際に暮らしていると、天候や地形、道の状態まで含めて、その土地の現実が見えてきます。

友人との電話で、ふと昔住んでいた香港のことも思い出しました。香港では距離が近く、誰かに電話をして「今から会う?」ということがよくありました。思い立ったらすぐに会える。そういう気軽さがありました。

けれど、今住んでいるスペインの田舎では、そうはいきません。車で1時間という距離は、日常のなかではなかなか大きいものです。会いたいと思っても、予定を合わせ、移動の時間を考え、それなりの準備が必要になります。そのぶん、電話で久しぶりに声を聞くだけでも、心が少し近づいたような気持ちになります。

夜には、久しぶりにアニメをYouTubeで見ました。スペイン語版がある作品で、スペインでもよく知られているものです。おそらく公式の配信だと思いますが、YouTubeにきちんとスペイン語の吹き替え版がありました。

内容の流れはだいたい知っているので、細かい意味がすべて分からなくても見続けることができます。私がしたかったのは、物語を楽しむこと以上に、スペイン語の音を聞くことでした。耳に入ってくる単語をひとつずつ拾っていく。知っている言葉が聞こえたら、「あ、今の分かった」と小さく確認する。そういう勉強です。

語学の勉強というと、机に向かって文法書を開く姿を思い浮かべるかもしれません。もちろんそれも大切ですが、暮らしのなかで耳を慣らす時間も必要です。好きな作品や、すでに話の流れを知っているものをスペイン語で見るのは、なかなか良い練習になります。分からない部分があっても、話についていけるからです。

こうして振り返ると、今日は特別な出来事があった日ではありませんでした。青空を見て、草刈りの音を聞き、寒さを感じ、友人と電話で話し、夜にはスペイン語を聞きました。

でも、スペインでの暮らしは、こうした小さな出来事の積み重ねです。旅行では見えにくい日常の景色や音、季節の変化があります。何気ない一日の中にも、この国で暮らしているからこそ感じられる時間があるのだと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。