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【村の行事】2026年
祝日4月3日(金) Viernes Sano、3月29日(日)〜4月5日(日) セマナサンタ

2026/05/08

5月1日(金) メーデーの夜、スペインのバルで見た多様な世界

今日は、こちらではメーデーの祝日です。

この日は一日、家の布ものを洗って過ごしました。季節が少しずつ暖かくなってくると、冬のあいだ使っていたものを片づけたくなります。

洗濯をして、干して、家の中を少しずつ整えていく。特別なことをしたわけではありませんが、こういう作業を終えると、気分も少し軽くなります。

夕方になり、せっかくの祝日だし、少し飲みに行こうかと思いました。夜8時ごろだったでしょうか。

いつものバルへ行ってみると、今日は友人たちがあまりいませんでした。それでも、顔見知りのスペイン人の友人たちがいたので、しばらく一緒に飲むことにしました。

その後、友人のトムに連絡してみました。

「飲みに来ない?」

そう声をかけると、なんと、ローストチキンを持ってきてくれたのです。思いがけない差し入れが、とても嬉しかったです。

そしてその夜は、印象に残る出会いがありました。

バルに、一組の若い旅行者のカップルが入ってきました。最初に目に入ったのは、女性のほうでした。遠目にもとても雰囲気のある人で、肌の色も表情も、何とも言えず美しく見えました。

アジア系のようにも見えるけれど、どこの人だろう。そんなことを思いながら、つい気になってしまいました。

ちょうど私が飲み物を買いに行ったとき、その二人が近くに来たので、少し話しかけてみました。すると、男性はポーランドの人で、女性はインドの人だということでした。

それを聞いて、私は友人を紹介しようと思いました。彼はポーランド人のお父さんとイギリス人のお母さんを持ち、インドで生まれ、スペインで育った人です。

「私の友人に紹介したいので、よかったらこちらへ」

そう声をかけました。

そこから自然に会話が始まりました。ポーランドの話、インドの話、スペインの話、旅行の話。国籍も育った場所も違う人たちが、村の小さなバルの一角で、飲み物を片手に話している。その光景がとてもよくて、私はしばらくその場の空気を楽しんでいました。

彼女は、インドでも南のほうの出身だと言っていました。

「インド」と聞いて思い浮かべるイメージは、どうしても映画やテレビで見てきたものに偏りがちです。ボリウッドの華やかな映像や、北インドの印象が強い人も多いかもしれません。

けれど、インドは本当に広い国です。地域によって言葉も文化も、顔立ちや雰囲気も大きく違います。

その彼女は、私の中にあった漠然とした「インドの人」というイメージとは少し違っていました。キリッとした華やかさというよりも、柔らかく、落ち着いた美しさがありました。思わず見とれてしまうほどでした。

あまりに見てしまったので、彼女は少し戸惑っていたかもしれません。けれど、それくらい印象に残る人でした。

その少し前にも、バルの前を通った若い男の子に目を引かれました。村に来ている難民の、十代の男の子です。

漆黒の巻き髪に、深い色の肌。まるでモデルのニャキム・ガトウェクさんの男性版のような、はっとする美しさを持った人でした。

こういうことを書くと、見た目について語ること自体をためらう人もいるかもしれません。肌の色や人種について触れることは、とても繊細な話題です。

けれど、その夜に私が感じたのは、単純な区別ではなく、美しさへの素直な驚きでした。

人の美しさは、本当にさまざまです。白い肌が美しいとか、黒い髪が美しいとか、そういう一つの基準ではありません。肌の色、髪の質、目の形、表情、立ち居振る舞い。その人が持っているものが、その人らしさとして輝いている瞬間があります。

スペインの小さな村に住んでいると、思いがけないほど多様な国の人と出会います。イギリス人、ポーランド人、オランダ人、インド人、アルゼンチン人、アフリカから来た人たち、そして地元のスペイン人。旅行者もいれば、移住者もいます。事情があってこの土地に来た人もいます。

それぞれが違う文化を背負い、違う言葉を話し、異なる背景を持っています。それでも、同じバルで飲み物を注文し、同じテーブルを囲み、少しずつ言葉を交わしていくと、最初にあった距離はだんだん薄れていきます。

その夜、私はふと日本のことを考えました。

日本にも、これからますます多様な背景を持つ人たちが暮らしていくのだと思います。すでにそうなっていますし、その流れは止まらないでしょう。

大切なのは、どこから来た人なのか、どんな肌の色なのかということだけで判断しないことだと思います。

もちろん、文化の違いはあります。言葉の問題もあります。習慣の違いから、すれ違いが起きることもあるでしょう。

けれど、その次の世代、つまり二世、三世の子供たちが、日本の心を持てるように、日本人と同じ気持ちで暮らせるようにしていくことが大切なのだと思います。

日本で生活できて良かった。日本で育って良かった。そう思える子供たちが育っていく社会になってもらいたいです。

そうでなければ、分断や対立、治安の悪化が、欧米のように進んでいく可能性もあるのではないでしょうか。

日本がこれからも発展し、経済も強くなっていくことを、スペインの田舎から願っています。

この夜のバルでの出会いは、ただ楽しかっただけではありませんでした。

ポーランド人の男性と、南インド出身の女性。ポーランドとイギリスにルーツを持ち、インドで生まれ、スペインで育った友人。地元のスペイン人たち。そして、そこにいる日本人の私。

5月の始まりは、小さな村のバルに、世界のいくつもの断片が集まった夜でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。