朝、外に出ると空は厚い雲に覆われていました。今にも雨が降り出しそうな空模様です。けれどスマートフォンの天気予報を見ると、午後2時ごろからは太陽が出るらしく、今日は雨は降らないとのこと。
ただ、予報では明日から天気が崩れ、土曜日まで雨が続く可能性が高いそうです。今週末は村でカーニバルが予定されているので、できれば雨は避けてほしいところです。
朝の散歩に出る前、厚手のジャケットを着るかどうか少し迷いましたが、結局それを選んで正解でした。外に出ると風が出てきて、体感温度はさらに下がります。
しばらく見かけていなかったキャンピングカー用の駐車スペースには、久しぶりに一台の車が停まっていました。嵐の間はほとんど誰も来ていなかったので、こうして車があるだけで、少し日常が戻ってきたような気がします。
先週は、友人の家のペットシッターをしていました。
この村には外国人のコミュニティーがあり、友人たちが休暇に出かけるとき、犬や猫の世話を頼まれることがあります。
村から少し離れた場所にある、庭やプール付きの家などだと、夏は特に気分が上がります。家のオーナーはホリデーに出かけ、私はその家で留守番をしながら、少しだけホリデー気分を味わえるからです。ビール片手に、プールに浮かぶような時間もあります。
けれど、すべての依頼を引き受けるわけではありません。
先日も、村に住んでいるイギリス人の犬2匹と猫2匹の世話を一週間頼まれたことがありました。彼女とは面識がなく、友人を通じて話が来たのですが、それは丁重にお断りしました。
というのも、その家は村の小さなピソ(アパート)だったからです。しかも天気予報では雨の確率が非常に高く、長い時間を室内で過ごすことになりそうでした。
もし自分の犬なら、狭い空間でも一緒に過ごすことはできます。けれど、人の家のペットを、庭もない場所で長時間預かるのはどうしても気が進みません。動物たちにとっても、世話をする側にとっても、ストレスになりかねないからです。
そして結果的に、その判断は正しかったように思います。
その時期はちょうど、1月後半の嵐の頃でした。しかもこの地域では群発地震まで起こりました。
散歩の途中で山肌を見ると、この地域らしい岩がむき出しになっている場所があちこちにあります。
地震が起きたとき、村の下の斜面にある岩が動いたのではないかと、少し心配になりました。実際にどうだったのかは分かりませんが、自然の中で暮らしていると、こういう変化にどうしても目が向きます。
そして下の方を見下ろすと、嵐のときに氾濫した川の水も、以前の土色から少しずつ色が薄くなってきているのが分かりました。
それでも川沿いには、ベージュ色の土が広がっています。嵐のときに上流から運ばれてきた土砂なのでしょう。
友人の家では、その土が庭に積もり、「まるでビーチができたみたい」と冗談を言っていました。
その川は、やがて地中海へと流れていきます。
このあたりに住んでいると、ふと世界の地図を思い浮かべることがあります。
車で2時間ほどの範囲には、アメリカ軍とスペイン軍が共同で使っている基地が2つあります。ひとつはカディスの近く、もうひとつはセビリアの近くです。
今の中東情勢を考えると、少し不安な気持ちになることもあります。
さらに南へ行けばジブラルタル海峡があります。
空気の澄んだ日には、遠くにモロッコの山が見えることもあります。
タリファからフェリーに乗れば、モロッコのタンジールまで約30分。港での手続きを含めても、1時間ほどでアフリカに着いてしまいます。
こうして考えると、ヨーロッパとアフリカの距離は本当に近いのだと感じます。だからこそ、この地域は地理的にも歴史的にも、さまざまな意味を持つ場所なのでしょう。
けれど、そんなことを思うと、願うことはひとつです。
世界が平和であってほしい、ということです。
コロナのとき、その思いは特に強くなりました。
私は2020年の1月、日本に一時帰国しました。本当は2か月ほどの滞在の予定だったのですが、その直後に世界が大きく変わりました。
スペインがロックダウンになり、結局、日本で半年近く過ごすことになったのです。
それ以来、国境を越えることに対する感覚が少し変わりました。
昔は当たり前のように行き来していたのに、「戻れなくなるかもしれない」という状況が起こり得るのだと考えるようになりました。
そんな経験もあって、最近よく思うことがあります。
海外に出るなら、やはり英語はできた方がいい、ということです。世界のどこでも、少しは話せる人が誰かしらいます。困ったときに助けてくれる人が見つかる可能性も、ぐっと高くなります。
それに加えて、もうひとつ言語があるとさらに心強いものです。
スペイン語は、特に南米ではとても役に立ちます。
中国へ行ったときには、漢字を書いて意思を伝えることができました。漢字を使えることのありがたさを実感した瞬間でした。
モロッコでは、アラビア語やフランス語が主に使われています。でもホテルなどでは英語が通じますし、モロッコ北部ではスペイン語も通じます。
今はAI翻訳もありますが、いざというときにスマートフォンを取り出してゆっくり翻訳している余裕があるとは限りません。場所によっては、スマホを出してもたもたしていると盗まれる可能性だってあります。
やはりある程度は、自分の言葉で話せること。
それが、この不安定な世界の中では大切な力になるのではないかと思います。
そんなことを考えながら歩いていると、雲の向こうが少し明るくなってきました。
天気予報の通り、午後には太陽が顔を出すのかもしれません。
空はまだ灰色ですが、どこかに春の気配が混じっているように感じます。
春は、もうすぐそこまで来ています。
最後までお読みいただきありがとうございました。







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