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【村の行事】2026年
祝日8月15日(土) 、ロメリア祭 6月6日(土)

2026/05/31

5月24日(日) ワインと炭酸水と、日曜日の反省

この日は、少し仕事をして過ごしました。

日本時間の月曜日の朝までに仕上げたいものがあったので、まずはそれに取りかかりました。スペインに暮らしていても、日本との仕事があると、時間の感覚は少し複雑になります。こちらではまだ日曜日でも、日本ではもう新しい週が始まろうとしています。

外はよい天気でした。暖かく、散歩に出ても気持ちよさそうな日です。けれども、仕事を終えたあとは外に出る気分にならず、家でゆっくり過ごすことにしました。

ちょうど開けていたワインがあったので、それを少し飲むことにしました。白ワインだと思って買ってきたものだったのですが、開けてみると赤ワインでした。

スペインでは、スーパーで気軽にワインを買えるので、ついラベルをよく見ないまま選んでしまうことがあります。

まあいいかと思い、スパークリングウォーターと混ぜて飲みました。スペイン語では、炭酸水のことを「agua con gas」と言います。こちらではレストランやバルでもよく聞く言葉です。

ワインを少し飲みながら、YouTubeを見て、つまみも少し食べました。ところが、こういう時の「少し」はあまり当てになりません。画面を見ながら、手元にあるものをぽこぽこと食べていると、自分がどれくらい食べたのか分からなくなってしまいます。

気がつくと、少し食べ過ぎていました。ワインも入り、炭酸水も飲み、つまみも続けて食べていたので、だんだん具合が重くなってきました。外に出ず、家でのんびりしていただけなのに、気楽な過ごし方が少し行き過ぎてしまったようです。

あわてて横になり、しばらく休みました。大事には至りませんでしたが、こういう食べ方はよくないなと反省しました。特に一人で家にいる時は、誰かと食卓を囲んでいる時よりも、食べる量や飲む量が分かりにくくなります。

日曜日の夜に体調を崩すと翌日の月曜日に支障がでるので、今後は気をつけようと思いました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


2026/05/30

5月23日(土) スペインの村に夏が来た日

夕方、少し散歩に出ました。ここのところ家にいる時間が長かったので、少しは歩いたほうがいいと思ったのです。

外に出ると、空気はすっかり暖かくなっていました。村の人たちも半袖姿で歩いていて、急に季節が進んだように感じます。寒い日が続いていたと思ったら、もう夏の入口に来ているのだなと思いました。

キャンピングカーが停まる駐車場のあたりにも、人がたくさんいました。キャンピングカーだけでなく、普通の車も何台も停まっています。

その横にはスポーツができるような場所があるのですが、最近そこに、テーブルと椅子が一体になったピクニック用の設備が置かれました。バーベキュー場やキャンプ場にありそうな、屋外用のテーブルです。

その日は、その場所で家族連れや友人同士の人たちが集まっていました。食べ物を広げて、話をしながら過ごしている様子は、いかにも週末のスペインの村らしい光景です。暖かくなると、人は自然と外に出てきます。冬のあいだは静かだった場所にも、また人の声が戻ってきました。

いつもとは少し違う道を歩き、そのまま村の通りのほうへ出ました。そして、銀行に寄ってお金を下ろすことにしました。

というのも、この日、銀行のアプリで少し面倒なことがあったからです。アプリを開くと、本人確認のような画面が出てきて、自分の情報を入力するよう求められました。

最初から何を聞かれるのか分かっていればよかったのですが、進めている途中で分からない項目が出てきてしまいました。

考えているうちに時間がたち、画面はいったん閉じてしまいました。次に開いた時には、今度は証明書類のようなものを提出するような表示になっていました。ところが、何の書類を出せばいいのかが、はっきり分かりません。

スペインでは、こういう時に少し不安になります。必要な手続きをしていないと、銀行口座が凍結されることがあるからです。日本にいる時には、口座が突然使えなくなるということはあまり身近に感じませんでした。けれども、こちらでは実際にそういう話を聞きます。

以前にも、似たようなことがありました。その時は銀行の窓口で説明すれば済んだのですが、同じような確認を放っておいたために口座を止められた人もいました。

また、交通違反などの罰金がきちんと手元に届かず、本人が気づかないまま未払いになっていたという話もあります。あとになって突然、口座が凍結され、調べてみると昔の罰金が原因だった、ということもあるようです。

私自身も、車の税金で困ったことがありました。今年はきちんと通知が届きましたが、去年は届きませんでした。おかしいなと思っていたら、ずいぶん時間がたってからデジタル通知が来ました。開いてみると、支払い期限を過ぎているため、すでに上乗せされた金額になっていました。

こちらとしては、最初の通知を受け取っていないのですが、それを説明しに行ったところで、簡単に聞き入れてもらえるとは限りません。結局、仕方なく払いました。

スペインで暮らしていると、こういう事務的なことには、いつも少し緊張します。放っておくと金額が増えたり、ある日突然、口座が使えなくなったりするかもしれません。

そんなこともあり、念のため少し現金を下ろしておこうと思いました。すぐに何かあるとは限りませんが、手元に現金があるだけで少し安心します。

銀行を出たあと、スーパーに寄りました。バルにはたくさん人がいましたが、知っている人の姿は見えませんでした。今日はそのまま帰ることにして、スーパーでワインを一本買い、家に戻りました。

スーパーの前

家では、そのワインを少し飲みながら、のんびり過ごしました。外はすっかり夏のような気配です。

それにしても、先週セビリアに行っておいて本当によかったと思いました。今週だったら、かなり暑かったはずです。この日はセビリアでは40度近くまで上がっていたようで、そんな中を歩き回っていたら、さすがに体力がもちません。

たった一週間違うだけで、こんなに季節が変わるのかと思います。スペインの春は気持ちのよい季節ですが、その始まりは遅く、終わりは思っているより早くやってきます。

寒い夜を心配していたのが少し前のことなのに、今度は暑さを気にしなければならない季節になりました。村の夕方のにぎわいを見ながら、今年もまた、スペインの長い夏が近づいているのを感じました。


2026/05/29

5月22日(金) 春の夜に思い出した香港のこと

先週セビリアに行っていたのが、もうずいぶん前のことのように感じます。旅行から戻ってからの数日は、ほとんど家にこもって過ごしていました。仕事もあり、外に出る気分にもなれず、気がつけばあっという間に時間が過ぎていました。

けれども、この日の夜は外に出て正解でした。

まだこれから寒い夜が来るかもしれません。それでも、この夜は本当に気持ちのよい春の夜でした。少し前までは、夜に出かける時には冬の厚いジャケットを持っていかないと不安でした。5月とはいえ、スペインの山あいの村では、日が沈むと急に冷え込むことがあります。

この日も念のため、薄い羽織りものは持っていきました。けれども、外に出てみると空気がやわらかく、寒さを気にせずに過ごせる夜でした。昼間の暑さとも違い、夜風が心地よく、春らしい時間が流れていました。

バルでは、イギリス人のグループと一緒になりました。飲みながら話をして、楽しい時間を過ごしました。こういう夜は、特別な予定がなくても、外に出るだけで気分が変わります。家にこもっていた数日のあとだったので、なおさらそう感じたのかもしれません。

ところが、途中で少し恥ずかしいことがありました。

何かを思い出して笑ったのか、話している途中だったのか、自分でもはっきり覚えていないのですが、飲んでいたビールが喉に詰まりそうになりました。その瞬間、危うく噴水のように吹き出しそうになったのです。

私は昔、運動神経はよい方でした。中学校から大学までバスケットボールをしていたこともあります。そのおかげかどうかは分かりませんが、吹き出す直前に、とっさに腕を口に当てることができました。

周りに飛ばさずに済んだのはよかったのですが、そのあと腕に残った濡れた感じがなんとも気持ち悪く、しばらく気になりました。

その出来事で、ふと香港に住んでいたころのことを思い出しました。

当時、少し気になっていた人がいました。付き合うところまではいかなかったのですが、そういう雰囲気の人です。結局うまくはいきませんでしたが、ある夜、バーで偶然再会。

その時に、「フラミング・ボルケーノ」という強いカクテルを送り合いました。私が先に送り、そのあと相手からも送られてきたのです。名前からしてすでに危険な感じがしますが、飲んだあと、本当に気持ちが悪くなってしまいました。

帰りは友人に付き添われ、タクシーに乗りました。たった15分ほどの道のりですが、車の中でどうにも我慢できなくなりました。とはいえ、タクシーの中を汚すわけにはいきません。

そこで私は、自分の持っていたブランド物のバッグの中に吐いたのです。(友人には根性が座っていると褒められました^^)

今思い出しても、なかなかひどい話です。でも、その時はそれが精一杯でした。日本人だから、という言い方が合っているかは分かりませんが、とにかく人の車の中を汚してはいけないという気持ちだけはありました。

そのあとタクシーを降り、自分の住んでいたマンションまであと少しというところで、また気分が悪くなりました。道端でうずくまっていると、近くにいた香港人の男性たちが「大丈夫ですか」と声をかけてくれました。

こちらとしては、ありがたいけれど、恥ずかしくてたまりません。「大丈夫です、来ないでください」という気持ちでいっぱいでした。

そんな昔のことを、スペインの村のバルでビールを少し吹き出しそうになっただけで、突然思い出したのでした。人の記憶というのは不思議です。小さな感覚や、ちょっとした失敗から、遠い昔の場面が急に戻ってくることがあります。

家にこもっていた数日のあとで味わう夜風は、思っていた以上に心地よいものでした。明日にはまた寒い夜に戻るかもしれませんが、この夜だけは、日本の桜吹雪を思い出すような、やわらかく気持ちのよい春の夜でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


2026/05/28

5月21日(木) 夏の光とオリーブの花粉、天井の蜘蛛

今日は、昼間だけ見るとすっかり夏でした。外に出ると半袖でちょうどよく、空には雲ひとつありません。家の中はまだ少し涼しいのですが、外の光はもう晩春というより、夏そのものです。

この時期になると気になるのが花粉です。私の場合は、オリーブの花粉です。オリーブの木には小さな花が咲き、その花粉が風に乗って飛んできます。目がチカチカするような感じがして、「今年もこの季節が来たな」と思います。

いつもなら5月10日ごろには症状が出るのですが、今年は少し遅いようです。それでも、空気の中に細かいものが混じっているような感じがあり、スペイン南部の春から初夏へ移る時期を、体でも感じます。

そんな天気のよい日でしたが、家の中では別の小さな問題がありました。

キッチンとダイニングが一緒になっている場所で、ふと上を見たら、天井の端に蜘蛛の巣がありました。少し前から気づいてはいたのですが、蜘蛛も小さく、天井の隅にいるだけならいいかと思っていました。

細長い足をした中心部が小さな蜘蛛で、最初はそれほど気になりませんでした。虫を取ってくれる存在でもありますし、できればそのままにしておきたい気持ちもあります。

けれども、気づくと蜘蛛が少し大きくなっていました。以前にも同じようなことがありました。窓の下のあたりに小さな蜘蛛がいて、名前をつけたくなるくらい可愛いと思っていたのに、ある日急に大きくなっていて、結局怖くなって外に出したことがあります。

今回も、天井にいるうちは大丈夫だと思っていました。けれども、だんだんこちらに近づいてくるように見えてきます。これ以上大きくなったら、自分では手に負えなくなるかもしれません。

少しかわいそうでしたが、蜘蛛の巣を取り、蜘蛛も外へ出しました。本当なら虫を取ってくれるので、家の中にいてもらってもいいのかもしれません。でも、毎日過ごす場所で、少しずつ存在感が増してくると、やはりそのままにはしておけませんでした。

スペインの田舎の家では、こういう小さな生き物との距離も近いです。外と家の中が完全に切り離されているわけではなく、虫も蜘蛛も、季節の空気と一緒に暮らしの中へ入ってきます。

夜は天気もよさそうなので、バルへ行こうかとも思いました。昼間の暑さを考えると、夜もそれほど寒くはならないでしょう。

ただ、旅の疲れが今ごろになって出てきたのか、今日は少し疲れています。本当は早く寝たいくらいですが、まだ仕事が残っています。

残念ですが、今日は家で大人しくしておくことにします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


2026/05/27

5月20日(水) 青空の下で気になった、車の水漏れと古い家のドア

雲一つない青空が広がりました。

朝、まず気になったのは車のことでした。少し前から、車の前のあたりから液体のようなものがポタポタ落ちている気がしていました。心配になって見に行ってみると、その時は特に漏れている様子はありませんでした。

それでも、しばらく動かさないままにしておくのもよくないと思い、少しだけ車を走らせることにしました。車もかなり汚れていたので、そのままガソリンスタンドへ行き、洗車も済ませました。

少し走らせてから家に戻ると、また車の下に水のようなものが落ちていました。ただ、洗車をした直後だったので、それが車のどこかに残っていた水なのか、それとも本当に何かが漏れているのか、すぐには分かりません。もう少し様子を見て、また確認しなければと思っています。

このところ、天気はすっかり夏のようになってきました。空にはほとんど雲がなく、昼間は日差しも強く感じられます。それでも朝晩はまだ涼しく、スペインの内陸の村らしい気温差があります。

車のことはまた明日考えようと思っていたら、今度は家の中で気になることが出てきました。バスルームの木のドアです。

以前から、雨の多い冬の間はこのドアが膨張し、きちんと開かなくなることがありました。それでも、閉めることはできていました。今回も同じだと思い、そのうち乾燥したら直るだろうと考えていたのです。

実際、友人が滞在していた月曜日までは、ドアは半分くらいしか開きませんでした。それでも閉めることはできていました。ところが今度は、閉まらなくなったのです。

よく見ると、ドアが少し傾いているようにも見えます。以前からのゆがみなのか、それとも2月の嵐のころに頻発した地震の影響なのか、はっきりとは分かりません。ただ、家そのものが大丈夫なのかと考え始めると、少し不安になります。

スペインの田舎の家は、古い建物も多く、味わいがあります。その一方で、暮らしていると、こうした小さな不具合にもたびたび向き合うことになります。外から見るだけなら趣のある家でも、実際に住んでみると、ひとつずつ自分で確認し、様子を見ながら付き合っていくことになります。

この日は仕事の始まりが少し遅くなりました。その分、あとから詰めて作業することになり、結局夜中まで仕事をしていました。最後は気を静めるためにワインを一杯飲み、眠ることにしました。

友人が帰り、またいつもの暮らしに戻っていく時期です。車のこと、家のこと、仕事のこと。気になることはいくつかありますが、ひとつずつ確認しながら、いつものルーティンを取り戻していかなければと思っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


2026/05/26

5月19日(火) 車の不安と、夕方の笑い声

前日から、車の調子が少し気になっていました。ラジエーターの水の減りが早いような気がしたのです。

車の前の下に、水滴のようなものがいくつか落ちていました。左側は少しオイルのようにも見え、真ん中と右側は水のようにも見えます。

今朝もう一度見に行くと、車の下は乾いていました。いったい何だったのか、はっきりとは分かりません。ラジエーターの水を確認すると、まだ入っているようでしたが、このまま安心していいのかどうか迷うところです。

来週は車が必要になります。遠出をするわけではありませんが、村で暮らしていると車がないと困る場面が多いです。

とはいえ、修理屋に今持っていくと、必要な日までに戻ってこない可能性もあります。結局、しばらくは様子を見ながら、恐る恐る乗るしかないのかなと思っています。

そんな少し落ち着かない気持ちのまま、この日は久しぶりに仕事に戻りました。10日ぶりくらいの仕事です。

ただ、休んでいたあいだにたまっていたこともあり、なかなか一気には進みません。いろいろな人からメッセージも入ってきて、そのやり取りにも時間がかかりました。旅行のあとに日常へ戻る時は、体だけでなく、気持ちも少しずつ戻していかないといけません。

夕方の8時ごろ、外はまだ明るく、少し出かけることにしました。村にいるオランダ人のカップルと会い、ビールを飲みながら話しました。

彼女たちはこの村にも家を持っていますが、村の外にも別の家があり、さらにセビリアにもピソがあるようです。

これまでオランダにも家があったのですが、最近、お母様が亡くなったこともあり、そちらは片づけて売る予定だと言っていました。もうオランダに住むことはない、というような話でした。

こちらで暮らしていると、親が亡くなったあとに実家をどうするかという話を聞くことがあります。私の周りでは、スペイン人でも、イギリス人でも、オランダ人でも、家を売って兄弟姉妹で分けるという人が多いです。

もちろん家庭によって事情は違います。ある知人は、お母さんが亡くなったあと、その家に住み続けるために、ほかの兄弟姉妹の相続分を支払ったそうです。

日本では、親の家が空き家のまま残っているという話をよく聞きます。けれど、私の周りのヨーロッパの人たちは、比較的早く売ってしまう印象があります。思い出がないわけではないのでしょうが、家を残すことよりも、それを自分たちの生活に生かす考え方が強いのかもしれません。

そのお金で車を買ったり、別の場所に家を買ったりしたという話も聞きます。土地や家に対する考え方は、国や家庭によってずいぶん違うものだと感じます。

そんな話をしながら、私たちはビールを2本ほど飲みました。特別な話をしたわけではありませんが、3人で冗談を言い合い、よく笑いました。

この前の1週間の旅行中も、友人と一緒によく笑っていました。くだらないことで何度も笑い、そのたびに気持ちが軽くなりました。そして昨日も、同じように笑っているうちに、やっぱり笑う時間は大事だなと思いました。

実は、私は顎の調子があまりよくありません。けれど、このところよく笑っていたせいか、少し楽になっている気がします。顔の筋肉を動かすことも、意外と大切なのかもしれません。

車のことはまだ少し心配です。仕事も、旅行前の調子に戻るまではもう少しかかりそうです。それでも、夕方に友人たちと会い、話し、笑う時間がある。

そういう何気ない時間に助けられながら、またいつもの村の生活へ戻っていくのだと思います。

そして、6月のロメリア祭りのポスターが回ってきました。

最後までお読みいただ、きありがとうございました。


2026/05/25

5月18日(月) 車の水漏れと、友人を見送るロンダ行き

この日は、友人がフランスへ帰る日でした。村からロンダまで行き、そこからバスでマラガへ向かい、さらに電車で空港へ行く予定です。

本当なら、私の車でロンダまで送るつもりでした。ところが朝になって、少し困ったことが起きました。

前日の夜、村のホテルのバルの前に車を停めたまま帰ってきていました。飲んでいたので、そのまま置いてきたのです。朝になってそれを思い出し、家の近くへ移動させようと車を取りに行きました。

その時、ついでにラジエーターの水を確認しました。少し前に車を見てもらった時、「水を足したほうがいい」と言われていたので、前日にも水を入れていました。ところが、また少なくなっていたのです。

これは少しおかしいと思いながらも、ひとまず水を足しました。すると近所のおじさんが通りかかり、「何をしているのか」と声をかけてくれました。ラジエーターの水が少ないと話すと、中をのぞいて見てくれました。

「まだ足りない。もっと入れたほうがいい」

そう言われて、さらに水を足しました。私としては、もう目盛りの上限を超えているようにも見えたのですが、おじさんは指で水位を確かめながら、まだ入れていいと言います。

こういう時、スペインの村では、通りがかりの人が自然に手を貸してくれることがあります。ありがたい反面、自分では判断がつかず、少し不安にもなりました。

その後、もう一度車を見に行くと、車の下の地面が濡れていました。ぽたぽたと水が落ちているように見えます。

これはまずいと思いました。

このままロンダまで走って、途中で車が止まったら大変です。スペイン語ではレッカー車のことを「グルーア」と言います。呼ぶのは問題ないですが、ロンダへ向かう途中でそうなったら、友人は飛行機の時間に間に合わなくなるかもしれません。

ロンダからマラガ行きのバスは本数が多いわけではなく、それを逃すとフライト変更しないといけなくなります。

月曜日なので、友人たちも仕事をしています。すぐに誰かに頼める状況ではありませんでした。

まずイギリス人の友人に連絡しましたが、その人は病院へ行っているところでした。「昨日言ってくれていたらよかったのに」と言われましたが、こちらも今朝になって分かったことなので仕方ありません。

次に、運転の上手な女性の友人に電話しました。けれど、彼女の車もちょうど修理中でした。

最後に、スペイン人の友人に連絡しました。その友人も仕事中だったのですが、別の人を紹介してくれました。すぐに電話してみると、幸いなことにロンダまで送ってもらえることに。

本当に助かりました。

もし朝、車を取りに行っていなかったら。もし水漏れに気づかず、そのまま友人を乗せてロンダへ向かっていたら。そう考えると、少しぞっとします。偶然に助けられたような一日でした。

無事にロンダまで送ってもらい、友人をバスターミナルまで見送りました。

ロンダのバス乗り場は、セビリアやマラガの大きなバスターミナルとは少し違います。大きな町なら、出発時間や行き先、乗り場がスクリーンに表示されます。けれどロンダでは、必ずしも分かりやすく表示されるわけではありません。

バスのエンジンがかかっている時は、車体の前に行き先が出ます。けれど運転手さんがエンジンを止めてしまうと、それも見えなくなります。結局、自分でバスを探したり、人に聞いたりしながら確認しなければなりません。

友人は最初、「ひとりで行ける」と言っていましたが、やはり一緒に行ってよかったと思いました。慣れていない人には、少し分かりにくい場所です。

無事にマラガ行きのバスに乗ることができ、友人は出発しました。その後、マラガに着いてから連絡があり、空港行きの電車にも無事に乗れたとのことでした。そこまで聞いて、ようやくほっとしました。

私も、一日一本だけある村行きのバスに乗れば帰ることはできました。1時間少し待てば出発する時間でした。けれど、ロンダまで乗せてきてくれた人が待っていてくれたので、そのまま一緒に村へ戻ることにしました。

帰り道、彼は途中で薬局に寄り、目薬を買っていました。最近、目の手術をしたそうです。その目薬はとても小さなものでしたが、値段は30ユーロもしました。しかも、スペインの公的医療制度ではカバーされない薬だそうです。

それを聞いて、少し納得しました。彼の運転は、スペイン人にしてはとても安全運転だったのです。なるほど、目の手術をしたばかりだったからなのかもしれません。もちろんこちらとしては、安全に運転してもらえるのはありがたいことです。

家に戻ってしばらくすると、今度はオランダ人の友人から「村にいるから飲みに行かないか」と連絡がありました。

少し迷いましたが、ここ数日はよく人と会い、よく飲んでいました。さすがに今日は休肝日にしようと思い、断ることにしました。会うのは明日にします。

いろいろありましたが、友人を無事に見送ることができたのはよかったです。けれど、車のことはまだ気がかりです。

予定どおりにいかないこともあります。それでも、友人が助けてくれて、なんとか目的地までたどり着く。そんな頼りになる人たちに支えられて、スペインの村の暮らしは続いていきます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


2026/05/24

5月17日(日) 嵐の名残と、村のレストランと、いつものバル

朝起きて朝食を済ませたあと、隣村の駅まで出かけました。

駅の近くには川が流れています。少し前の嵐の時、この川は水が一気に増えて氾濫し、周辺に被害が出ました。普段は静かな川でも、雨が続くとまったく違う姿になります。スペインの田舎に暮らしていると、自然がすぐそばにあることをこういう時に強く感じます。

川は、すでにいつもの姿に戻りつつありました。それでも水量はまだ多く、流れも速く、嵐の名残が残っていました。水面を眺めながら歩いていると、二月の激しい雨と、いま目の前にある穏やかな景色が重なって見えます。

スペイン旅行というと、青空、広場、バル、歴史ある街並みを思い浮かべる方が多いと思います。けれど、小さな村の川辺にも、その土地の日常があります。観光名所ではなくても、こういう場所を歩くと、暮らしの中のスペインが見えてきます。

まだへその緒が付いている子羊

川の近くをぐるりと一周しました。全部で三十分ほどの散歩です。水の音を聞きながら歩き、涼しい空気を感じて、また村へ戻りました。特別なことをしたわけではありませんが、旅先でこういう道を歩く時間があると、その土地の印象は少し変わると思います。

散歩のあとは、村で人気のあるレストランで昼食をとりました。家族連れや近所の人たちが集まり、急ぐことなく食事をしています。

私たちが注文したのは、プルポ(タコ)

ガンバス・アル・ピルピル。いわゆるエビのアヒージョです。

メインはイベリコ豚のセクレトでした。

セクレトは霜降りのように脂が入り、やわらかい部位です。

食事を終えて家に帰る前に、プールの近くにあるバルに立ち寄りました。そこにイギリス人のマルコスとアレックスがいたので、一緒にビールを飲みました。

この村では、こういう偶然がよくあります。約束をしていなくても、バルに行けば誰かがいる。少し座って、飲み物を頼み、近況を話す。それだけで午後が過ぎていきます。

家に戻ってからは、ゆっくりとYouTubeを見ました。その時、普段自分がどんな動画を見ているのかを友人に見せました。

YouTubeはテレビとは違います。テレビは自分が選ばなくても、いろいろな番組が流れてきます。一方でYouTubeは、自分の興味に近いものばかりが表示されます。その分、気づかないうちに見るものが偏っていきます。

だから、友人と「普段何を見ているのか」を見せ合うのは、ちょっとした情報交換になります。自分では選ばない動画や考え方を知るきっかけになるからです。スペインの暮らしというと、外で人と会う時間が印象に残りますが、家で過ごす時間にもその人の日常が出ます。

マラガやセビリアで過ごしてから村に戻ると、やはり涼しく感じます。寒いわけではありませんが、今年は暖かくなるのが少し遅いようです。それでもこの時期は暑すぎず、寒すぎず、歩くにはちょうどいい季節です。

もうひとつ気になっているのは、花粉症です。例年なら五月十日ごろには目が痒くなり始めるのですが、今年はまだその反応が出ていません。どうやら少し遅れているようです。天気や植物の状態は年によって変わるので、同じ季節でも毎年まったく同じではないのでしょう。

二月の嵐で氾濫した川を見に行き、村のレストランで昼食をとり、バルで友人とビールを飲み、家で動画を見ながら過ごす。

旅行から戻ってきて、少しずつ日常に戻っていく。そんな一日でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

2026/05/23

5月16日(土) トリアナで過ごす朝、ロンダへ戻る午後

この日は、セビリアを出て村に戻る日です。とはいえ、その前にもう少しだけトリアナで過ごすことにしました。

朝、宿泊先を出てタクシーに乗り、まずはローラの家へ向かいます。大きな荷物を持ったまま町を歩くのは大変なので、先に荷物を置かせてもらうことにしました。こういう時、現地に友人がいるのは本当にありがたいです。

荷物を置いたあと、トリアナのショッピング通りへ出ました。歩行者天国のようになっている通りで、店が並び、地元の人たちが買い物をしたり、朝の時間を過ごしたりしています。セビリア中心部とはまた違う、生活感のあるにぎわいがあります。

ただ、車は通らないものの、自転車専用レーンがあるので注意が必要です。気を抜いて歩いていると、意外と危ないと感じました。

まずは朝食です。入った店で、丸い全粒粉のパンを半分に切ってトーストしたものを注文しました。バターとジャムをつけ、コーヒーと一緒にいただきます。特別な朝食ではありませんが、香ばしいパンと温かいコーヒーがあるだけで、ゆっくり一日が始まる気がします。

その後は川のほうへ歩きました。トリアナは、やはり川と一緒にある町です。川沿いには橋の下を歩ける場所があり、そこを少し散歩しました。向こう岸にはセビリアの中心方面が見えます。ほんの少し離れただけなのに、こちら側から眺めると、町の表情が少し違って見えました。

そのあと市場にも立ち寄りました。市場の中を歩くと、その土地の生活が見えてくるようで楽しいものです。魚介類、野菜、肉、そして生ハムの原木が並んでいます。

中でも目に留まったのは、ハブーゴ産の5つ星生ハムです。どんぐりを食べて育ったイベリコ豚のベジョータで、見るからに立派なものでした。

しばらくして、ローラと合流しました。

そこから向かったのは、ローラの友人がいるバルです。「ゴロンドリーナス(つばめ)」という名前のお店です。

ローラの友人は生ハムを切るのがとても上手で、そこで切ってもらったハムをいただきました。

薄く切られた生ハムをビールと一緒に食べると、やはりスペインにいるのだなと思います。

その後、いったん荷物を取りに戻り、次のバルへ向かいました。ここは去年も来たことがある店で、魚介類やタパスがおいしいところです。エビを食べながらビールを飲みました。

ただ、このあと長距離バスに乗る予定があったので、ビールは控えめです。トイレに行きたくなったら困るという話をすると、同じ年代の人たちはみな同じような悩みを抱えているようでした。中には手術をしたという人もいました。

そこで少し驚く話を聞きました。ある人はボトックス注射を受けたそうです。そのおかげで、セビリアの春祭りで外に長く出ていても、トイレに行ったのは一度だけだったと言っていました。本人はとてもよかったと話していました。

ボトックスは顔にするものと思っていたので衝撃でした。

それは私立病院(100%自己負担)なのかと聞くと、公共病院(自己負担なし)で受けられるとのことです。私は初めて聞いたので驚きました。一緒に旅していた友人も同じように驚いていました。いつか自分も本当に困るようになったら、そういう方法もあるのかもしれないと思いました。

こうして地元の人たちとバルで過ごしていると、旅行でありながら、ただの観光とは少し違う時間になります。名所を見て回るのも楽しいですが、誰かのいつもの店に連れて行ってもらい、友人たちと話しながら食べたり飲んだりする時間には、また別のよさがあります。

今回の旅で強く感じたのは、日本人旅行者をほとんど見かけなかったことです。季節的なこともあるのかもしれませんが、それにしても少ないと感じました。

昔なら、スペインの観光地には日本人の団体旅行客や個人旅行者がたくさんいました。けれども今回は、個人旅行らしい人を一人、二人見かけたかどうかという程度です。やはり円安が大きく影響しているのでしょうか。

一方で、韓国や台湾から来ている人たちは見かけました。ただ、ツアーというより個人旅行の人が多い印象です。以前は中国本土からの団体旅行者であふれているように感じる時期もありましたが、今回はまったくと言っていいほど見かけませんでした。

旅先で聞こえてくる言葉や、歩いている人たちの雰囲気からも、観光客の流れが変わってきているのを感じます。

バルでの時間を終えたあとは、バスでプラサ・デ・アルマスのバスターミナルへ向かいました。そこからロンダまで、さらにバスで約2時間の移動です。


ここはかつて鉄道駅でした。

バスステーションでは、台湾から来た4人組の方と少し話しました。日本語がとても上手で、私も香港に住んでいた時に、広東語や北京語をもっと勉強しておけばよかったと思いました。


円が安くなり、ヨーロッパの物価も上がっています。日本から旅行に来るには、以前よりかなり負担が大きくなっているのだと思います。

ふと、昔イギリスに住んでいた時のことを思い出しました。38年も前のことですが、そのころもポンドは決して安くありませんでした。1ポンド240円台だったと記憶しています。日本と比べて、イギリスの物価もそこそこ高かったと思います。

それでも当時は、日本人の学生や旅行者がたくさんいました。今思うと、あのころはどうしてあれほど多くの人が海外に出ていたのだろうと不思議になります。

ロンダまでのバス移動は直行で、快適でした。到着すると、イギリス人の友人が迎えに来てくれていました。待ち合わせはスーパーだったので、そこまで歩いて向かいます。一緒に旅していた友人も彼とは面識があり、25年ぶりの再会になりました。

途中で、「クエバ・デル・ガト」と呼ばれる洞窟から水が出ている場所に立ち寄りました。以前から知っている場所ですが、久しぶりに見ると少し様子が変わっています。

橋はまだ残っていましたが、その先の歩く場所は一部崩れていました。それでも、なんとか近くまで行くことはできます。おそらく岩が崩れたのでしょう。周囲の形が少し変わっていて、以前とは違う雰囲気になっていました。

出ている水はとても冷たく、真冬のようにひやっとします。季節は5月ですが、山の水にはまだ冬の気配が残っているようでした。

その場所を少し見学してから、村へ戻りました。帰ってからは、バルで3人でビールを飲みます。その後、私たちはスーパーへ行き、そこでまた知り合いに会って、少しだけ飲むことになりました。

村では、こういう偶然がよくあります。買い物に行っただけのつもりが、誰かに会い、少し話し、少し飲む。予定していなくても、自然に時間がつながっていきます。

家に戻ってからは、残っていたワインを二人で少し、いや、一本飲みました。それで、この日の一日は終わりです。

朝はトリアナでパンとコーヒーを楽しみ、川沿いや市場を歩き、友人たちとバルで過ごしました。午後にはバスでロンダへ戻り、山の水に触れてから、いつもの村の時間へ。セビリアのにぎわいから村の静けさへ戻っていく、移動しながらも人との時間に恵まれた一日でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


2026/05/22

5月15日(金) トリアナのバル巡りと、セビジャーナスの夜

朝は、セビリア中心部にある老舗のお菓子屋さんに入りました。ショーケースには甘いものが並んでいましたが、その横にカフェコーナーがあり、コーヒーとサンドイッチを注文しました。

サンドイッチは野菜入りで、見た目はなかなか良かったのですが、野菜の水分がパンに少し染みていました。それでも、二人で半分ずつ食べるにはちょうどよい量です。旅先では、少しお腹に入れるくらいの軽い朝食が、かえって心地よく感じることがあります。


その後は、ショッピング通りを少し歩いてから川を目指しました。

橋を渡ると、そこはトリアナ地区です。トリアナに住んでいるローラの家へ向かいました。セビリアの中心部とは違い、トリアナには独特の空気があります。川を渡るだけで、町の雰囲気が少し変わるように感じられるのです。

観光客ももちろんいますが、中心部ほど多くはありません。まだ地元の人たちの暮らしがしっかり残っていて、歩いているだけでも落ち着く地区です。

ローラの家に着くと、手作りのガスパチョを一杯出してくれました。これから暑い季節に向かうスペインでは、ガスパチョがますますおいしくなる時期です。

「飲みに行く前に、ビタミンを取らないと」というローラの心遣いでした。外食が続く旅の途中では、野菜の味がする一杯がとてもありがたく感じられます。

少し休んだあと、近くのバルへ向かいました。

ここで食べたのが、私の大好きな「コキーナ」という小さな貝です。ウエルバの方から来るそうで、シンプルですが、貝のうまみがしっかりあります。

そして「トルティージャ・デ・カマロン」も食べました。小エビを使った料理で、日本の小エビのかき揚げを、薄く平べったくしたようなものです。とてもおいしかったのですが、残念ながら写真を撮るのを忘れてしまいました。

トリアナは、セラミックでも知られている地区です。ローラが知り合いの店があると言うので、次のバルへ行く前に、その陶器の店にも立ち寄りました。

店には、タイルや小物など、いかにもトリアナらしい色合いの品物が並んでいました。私はそこでコースターを買いました。それから、開けたワインボトルに使う栓も買いました。

旅先では、大きなものはなかなか買えません。けれど、こういう小さなものなら持ち帰りやすく、あとで使うたびにその町を思い出せます。実用品でありながら、旅の記憶にもなるところがいいなと思います。

次に寄ったのは、市場の横にあるバルです。

ここでは、ボケロネス・フリートスを食べました。片口イワシのような小さな魚のフライです。前の晩には、酢漬けにしたボケロネスを揚げたものを食べましたが、こちらは酢漬けではなく、そのまま揚げたものでした。

トルティージャも食べました。一緒に旅行している友人がそれをナイフで切っていたら、ローラの夫さんが驚いたような顔でじっと見つめていました。まるで「そんな切り方をしたら、トルティージャがかわいそう」と言っているようでした。こういう何気ない食べ方の違いにも、その国らしさが出るのだと思います。

次に向かったのは、セビリアのチームのベティスのファンクラブのような場所にあるバルでした。スペインでは、サッカーチームへの愛着が暮らしの中に自然に入り込んでいます。こうした場所に来ると、観光地としてのセビリアとはまた違う、地元の顔が見えてきます。

そこで「カラコレスを食べるか」と聞かれました。カラコレスとはカタツムリのことです。セビリアでは、小さなカタツムリをコンソメのようなスープで煮込んだ料理としてよく食べるそうです。

せっかくなので一皿もらいましたが、出てきた量が思ったより多く、見た目にもかなり迫力がありました。カタツムリが角を出しているので、私はあまりじっと見ることができません。

食べる時は、爪楊枝を使って中身を取り出します。ただ、慣れている人はそのまま吸って食べるそうです。私たちは少しだけ食べて、残りは一緒にいた人たちにお譲りました。

その後、川沿いにある別のバルへ行きました。


そこでは、フラメンコそのものではありませんが、フラメンコに近い雰囲気の歌のライブがありました。ライブが始まると、すぐにセビジャーナスが流れ始めました。

すると、まわりの人たちは当然のように踊り出しました。誰かが特別に準備していたわけではありません。セビジャーナスの音楽が流れれば、自然に体が動く。そういう空気が、そこにはありました。

こういう場面を見ると、セビリアという町に根づいている文化の深さを感じます。踊りは舞台の上だけにあるものではなく、バルの中にも、日常の中にもあるのだと思いました。

夜10時ごろになり、そろそろ宿泊先の方へ戻ることにしました。

ローラと別れて、タクシーを拾い宿に向かいます。

宿の近くには大きな広場があり、その周りにはたくさんのバルが並んでいます。金曜日の夜ということもあり、人がとても多く、広場全体がにぎやかな空気に包まれていました。

少し歩くと、まだ小腹が空いていることに気づきました。近くにはラーメン屋がありました。日本人がやっている店ではありませんでしたが、ラーメンなら中国系の店でも悪くないかもしれない、と思いました。

ところが、その向かいにインドカレーの店があったのです。見てみると、本当にインドの人がやっている店のようでした。結局、ラーメンではなくインドカレーを選びました。

これがとてもおいしかったです。スペイン旅行中にインドカレーを食べるというのも少し不思議ですが、旅の夜には、こういう予定外の選択が案外よい思い出になります。

カレーとライスとナン。やはり、どこか落ち着く組み合わせです。

食事を終えて宿に戻り、そのまま寝ることにしました。

ただ、この宿は音が少し気になる場所でした。ドアや窓は新しくなっていて、密閉性が高そうに見えたのですが、外の音はかなり聞こえてきました。

広場の近くということもあり、夜中の3時、4時ごろまで人の声や物音が続いていました。

さらに、その後は清掃の車が来ました。水を流しながら道を掃除する車で、その音もかなり響きました。

金曜日の夜のセビリアらしいにぎやかさではありますが、音に敏感な人には少し難しい宿かもしれません。

朝のコーヒーから始まり、トリアナのバル、陶器の店、ベティスのファンクラブ、カラコレス、セビジャーナス、そして最後はインドカレー。振り返ってみると、何か大きな観光名所を巡ったわけではないのに、とても濃い一日でした。

地元の友人について歩いていると、ガイドブックだけでは分からないセビリアに出会えます。何を食べるか、どの店に入るか、どこで足を止めるか。その一つひとつが、その町で暮らす人の感覚につながっているようでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


2026/05/21

5月14日(木) セビリア大聖堂から夜のディスコまで

朝は遅めのスタートです。まず向かったのは、中華系のスーパーでした。デパートのエル・コルテ・イングレスの近くにある店で、商品が豊富なので、セビリアに来た時は必ず立ち寄るようにしています。

そこで買ったのは、出前一丁。香港の日清の製品で、香港に住んでいたころからよく利用していたものです。スペインにいても、こうした懐かしい味を見つけると、つい手に取りたくなります。そのほかにも、荷物にならない程度に少し買い物をしました。

そのあと、朝食を食べに行きました。注文したのは、パンにローストしたようなハムとトマトが挟まったものです。スペインではよくある、シンプルでおいしい朝食だと思っていたのですが、食べてみると中にパテも入っていました。ハムとトマトだけだと思っていたので、少し予想外でした。おいしくないわけではないのですが、パテの香りが少し苦手でした。

朝食を食べながら老舗時計店のメディア撮影風景を見学

老舗文房具店にTVレポーター

一度宿に戻って荷物を置き、それからセビリア大聖堂へ向かいました。



大聖堂の前には、すでにたくさんの人が並んでいました。最初はその列に並んでいたのですが、どうやらインターネットでチケットを購入した人たちの列のようでした。念のため近くの人に聞いてみると、やはりネット予約をした人の列だとのことです。

「当日券はもう無理なのかな」と思ったのですが、少し離れたところに当日券を売っている場所がありました。行ってみると、そちらのほうがずっと空いています。今は多くの人が事前にネットでチケットを買うので、予約者の列のほうが長くなっているのかもしれません。

チケット売り場へ行く前には、荷物チェックがありました。いつから始まったのでしょうか。私が前回来た時にはなかったように思います。観光地の仕組みも、少しずつ変わっていくものです。

当日券の列に少し並ぶと、そのまますぐに中へ入ることができました。結果的には、とてもいいタイミングでした。

当日券窓口の前、工事中なので塔の上のがここに展示されています。

セビリア大聖堂は、何度訪れても圧倒されます。

中に入った瞬間、その広さと高さ、重厚な空気に包まれます。観光名所として有名な場所ですが、実際にその場に立つと、やはり写真だけでは伝わらない迫力があります。


コロンブスの棺


大聖堂を見学したあとは、ヒラルダの塔に上りました。塔の上へ向かう道は、普通の階段ではなく、ゆるやかな坂道のようになっています。最後だけ階段がありますが、それまではぐるぐるとスロープを上っていく形です。

上るにつれて少しずつ息が切れてきますが、そのぶん上に着いた時の景色は格別でした。セビリアの町が一望でき、屋根の色や通りの形、大聖堂の大きさを改めて感じることができます。

ちょうど塔の上にいる時に、鐘が鳴りました。大きな音が近くで響き、その迫力に驚きながらも、こういう偶然に出会えるのは旅の楽しさだと思いました。鐘の音を聞きながら見るセビリアの景色は、とても印象に残りました。

塔を下りてくると、入った時よりもさらに人が増えていました。ちょうどこちらの昼食時間に近づいていたこともあり、大聖堂の中も周辺もかなり混み合っています。そう考えると、昼食時間帯に入る前に見学できたのは正解でした。

次に向かったのは、アルカサルです。

ただ、その前に少しだけビール休憩をしました。朝から歩き続けていたので、ここで冷たいビールを一杯飲むと、体も気分も少し落ち着きます。スペインの観光では、この小さな休憩がとても大事です。

アルカサルには、以前にも一度来たことがあります。スペインに来てから二年ほど経ったころだったと思います。その時も中には入ったのですが、昔のことなので、正直なところあまりはっきりとした記憶が残っていませんでした。

今回、改めてゆっくり見てみると、本当に素晴らしい場所でした。

イスラム文化の影響を感じるタイル装飾や細かな模様、建物の造りがとても美しく、見ていて飽きません。壁の装飾も、天井も、庭に続く空間の作り方も、細部まで手が込んでいます。

グラナダのアルハンブラ宮殿を思わせるような雰囲気もありました。もちろん規模や印象は違いますが、セビリアのアルカサルにも、アンダルシアらしい歴史の重なりと美しさがあります。建物の中を歩き、庭へ出ると、町の中心にいることを忘れてしまうような落ち着きがありました。




.庭には孔雀が何羽もいました。人に慣れているのか、近くを人が通っても逃げることなく、悠然と歩いています。美しい建物や庭園だけでなく、こうした何気ない光景も、アルカサルの記憶として残りました。

観光地として有名な場所をいくつか回ったあとは、友人のローラと待ち合わせをしました。

ローラは、観光客があまり通らないような小さな道をいろいろ案内してくれました。セビリアの中心部は有名な観光地だけでも十分に見ごたえがありますが、地元の人と歩くと、また違った町の顔が見えてきます。



細い道を抜けたり、少し奥まった場所にあるバルに入ったりすると、観光として見るセビリアではなく、人が暮らしている町としてのセビリアを感じます。ローラに連れて行ってもらったのは、地元の人が集まるような小さなバルでした。


そこでビールを飲み、タパスを食べました。昼間に大聖堂やアルカサルを歩き回ったあとだったので、冷たいビールがとてもおいしく感じます。観光でたくさん歩いたあとに、地元の友人とバルで休む時間は、旅の中でも特別です。

そして夜は、宿のすぐ近くにある「1987」というディスコのような店に入りました。

セビリアで観光をして、アルカサルを見て、地元のバルで飲み、最後にディスコに行く。考えてみれば、かなり盛りだくさんの一日です。店では少し飲み、音楽に合わせて踊りました。現地の人たちとも少し踊り、思いがけず楽しい夜になりました。

ただ、そんなに遅くまではいませんでした。たぶん夜の12時過ぎくらいだったと思います。友人のほうが先に酔ってしまい、「もう帰る」と言って先に宿へ戻っていきました。

私は、ローラがタクシーを呼んでいたので、タクシーが来るまで一緒に待っていました。そのあと宿に戻ろうとしたのですが、そこで少し問題が起きました。

酔っていたこともあり、宿の入口の暗証番号がなかなか見つかりません。携帯を見ながら一生懸命探し、ようやく番号を打ってみたのですが、ドアは開きませんでした。

外から見ると、先に帰った友人が宿の中を歩いているのが見えました。私は外から一生懸命手を振りましたが、もちろん向こうは気づきません。夜のセビリアで、宿の前に立ちながら必死に暗証番号を探している自分が、だんだんおかしくなってきました。

もう一度よく探してみると、どうやら別の番号もありました。そちらを試してみると、なんとか中に入ることができました。友人は中の扉を閉めずにいてくれたようで、それにも助けられました。

部屋のドアも鍵はかかっていなかったようですが、その時はわからなかったので、私はドアをどんどん叩きながら「開けて、開けて」と言っていました。ようやく中に入ることができ、ほっとしました。

少し酔っぱらい、少し迷い、少し焦りましたが、振り返ってみると、それも含めて楽しい夜でした。

セビリアは、歴史ある建物の美しさだけでなく、路地を歩く楽しさや、人と会って飲む時間、夜の賑やかさまで含めて魅力のある町です。大聖堂の鐘の音を聞き、アルカサルの庭で孔雀を眺め、友人とビールを飲み、最後には宿の暗証番号と格闘する。そんな出来事が重なって、この日のセビリアは、また忘れられない一日になりました。

最後までお読みいただきありがとうございました。