この日は、友人がフランスへ帰る日でした。村からロンダまで行き、そこからバスでマラガへ向かい、さらに電車で空港へ行く予定です。
本当なら、私の車でロンダまで送るつもりでした。ところが朝になって、少し困ったことが起きました。
前日の夜、村のホテルのバルの前に車を停めたまま帰ってきていました。飲んでいたので、そのまま置いてきたのです。朝になってそれを思い出し、家の近くへ移動させようと車を取りに行きました。
その時、ついでにラジエーターの水を確認しました。少し前に車を見てもらった時、「水を足したほうがいい」と言われていたので、前日にも水を入れていました。ところが、また少なくなっていたのです。
これは少しおかしいと思いながらも、ひとまず水を足しました。すると近所のおじさんが通りかかり、「何をしているのか」と声をかけてくれました。ラジエーターの水が少ないと話すと、中をのぞいて見てくれました。
「まだ足りない。もっと入れたほうがいい」
そう言われて、さらに水を足しました。私としては、もう目盛りの上限を超えているようにも見えたのですが、おじさんは指で水位を確かめながら、まだ入れていいと言います。
こういう時、スペインの村では、通りがかりの人が自然に手を貸してくれることがあります。ありがたい反面、自分では判断がつかず、少し不安にもなりました。
その後、もう一度車を見に行くと、車の下の地面が濡れていました。ぽたぽたと水が落ちているように見えます。
これはまずいと思いました。
このままロンダまで走って、途中で車が止まったら大変です。スペイン語ではレッカー車のことを「グルーア」と言います。呼ぶのは問題ないですが、ロンダへ向かう途中でそうなったら、友人は飛行機の時間に間に合わなくなるかもしれません。
ロンダからマラガ行きのバスは本数が多いわけではなく、それを逃すとフライト変更しないといけなくなります。
月曜日なので、友人たちも仕事をしています。すぐに誰かに頼める状況ではありませんでした。
まずイギリス人の友人に連絡しましたが、その人は病院へ行っているところでした。「昨日言ってくれていたらよかったのに」と言われましたが、こちらも今朝になって分かったことなので仕方ありません。
次に、運転の上手な女性の友人に電話しました。けれど、彼女の車もちょうど修理中でした。
最後に、スペイン人の友人に連絡しました。その友人も仕事中だったのですが、別の人を紹介してくれました。すぐに電話してみると、幸いなことにロンダまで送ってもらえることに。
本当に助かりました。
もし朝、車を取りに行っていなかったら。もし水漏れに気づかず、そのまま友人を乗せてロンダへ向かっていたら。そう考えると、少しぞっとします。偶然に助けられたような一日でした。
無事にロンダまで送ってもらい、友人をバスターミナルまで見送りました。
ロンダのバス乗り場は、セビリアやマラガの大きなバスターミナルとは少し違います。大きな町なら、出発時間や行き先、乗り場がスクリーンに表示されます。けれどロンダでは、必ずしも分かりやすく表示されるわけではありません。
バスのエンジンがかかっている時は、車体の前に行き先が出ます。けれど運転手さんがエンジンを止めてしまうと、それも見えなくなります。結局、自分でバスを探したり、人に聞いたりしながら確認しなければなりません。
友人は最初、「ひとりで行ける」と言っていましたが、やはり一緒に行ってよかったと思いました。慣れていない人には、少し分かりにくい場所です。
無事にマラガ行きのバスに乗ることができ、友人は出発しました。その後、マラガに着いてから連絡があり、空港行きの電車にも無事に乗れたとのことでした。そこまで聞いて、ようやくほっとしました。
私も、一日一本だけある村行きのバスに乗れば帰ることはできました。1時間少し待てば出発する時間でした。けれど、ロンダまで乗せてきてくれた人が待っていてくれたので、そのまま一緒に村へ戻ることにしました。
帰り道、彼は途中で薬局に寄り、目薬を買っていました。最近、目の手術をしたそうです。その目薬はとても小さなものでしたが、値段は30ユーロもしました。しかも、スペインの公的医療制度ではカバーされない薬だそうです。
それを聞いて、少し納得しました。彼の運転は、スペイン人にしてはとても安全運転だったのです。なるほど、目の手術をしたばかりだったからなのかもしれません。もちろんこちらとしては、安全に運転してもらえるのはありがたいことです。
家に戻ってしばらくすると、今度はオランダ人の友人から「村にいるから飲みに行かないか」と連絡がありました。
少し迷いましたが、ここ数日はよく人と会い、よく飲んでいました。さすがに今日は休肝日にしようと思い、断ることにしました。会うのは明日にします。
いろいろありましたが、友人を無事に見送ることができたのはよかったです。けれど、車のことはまだ気がかりです。
予定どおりにいかないこともあります。それでも、友人が助けてくれて、なんとか目的地までたどり着く。そんな頼りになる人たちに支えられて、スペインの村の暮らしは続いていきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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