この日は、まるで冬が戻ってきたような空模様でした。空はどんよりと曇り、気温も上がらず、外に出ても春らしい軽やかさがあまり感じられません。もう4月も終わりに近づき、すぐそこまで5月が来ているというのに、なかなか「春本番」と思える日が続かないのは、少し残念です。
朝は英語のレッスンが一つありました。生徒さんというか友人ですが、英語で書いた短い文章を送ってくれていたので、それを一緒に確認していきます。
文法としては間違っていなくても、「実際にネイティブがそう言うかどうか」は、また別の問題です。昔なら、バルでイギリス人の友人に聞いたりしていましたが、今は便利なもので、まずはChatGPTに確認することもあります。
もちろん、それが100パーセント正しいとは限りません。ですから、気になる表現があれば、後日あらためてイギリス人の友人などに聞いてみることもあります。それでも、「文法的には合っているけれど、この言い方はあまり自然ではありません」といった指摘をしてくれるのは、やはり助かります。
英語を教えていると、よく思うことがあります。私たちは日本語のネイティブなので、外国語として日本語を話す人の言葉を聞くと、「とても上手だけれど、ここだけ少し不自然だな」と感じることがあります。逆に、その感覚こそが、外国語を学ぶ側にはなかなか見えにくい部分なのだと思います。
たとえば、YouTubeなどで日本語を流暢に話す外国の方を見かけることがあります。アメリカ人や韓国人の方が、日本語で自然に説明している動画を見ると、最初は「どうしてこんなに自然なのだろう」と驚きます。
気になってその人の過去の動画をたどっていくと、子どものころから日本で暮らしていた、あるいは小学校や中学校を日本で過ごしていた、という話に行き着くことがあります。そこでようやく「ああ、なるほど」と納得します。
韓国の方でも、最初に見たときは日本人だと思ってしまうほど自然な日本語を話す方がいます。よく聞いてみると、やはり小さいころに日本で生活していた時期があるようです。テレビで見かける韓国出身の評論家の方にも、幼少期を日本で過ごした人がいますが、やはり言葉の自然さには、そうした背景が大きく関係しているのでしょう。
私自身、英語を本格的に学び始めたのは24歳、イギリスへ行ったときです。ですから、子どものころからその言語に触れてきた人とは、どうしても感覚の部分で違いがあります。
文法としては正しくても、ネイティブはあまり使わない表現というものがあります。昔、ある単語を使ったら、イギリス人の友人に大笑いされたことがありました。「それ、私のおばあちゃんが使う単語だよ」と言われたのです。
本で学んだ言葉と、実際に日常で使われる言葉は違います。意味は通じても、古く聞こえたり、硬すぎたり、不自然に感じられたりすることがあります。そのあたりの感覚は、やはり実際に生活の中で触れていないと、なかなか身につきません。
言語を学ぶうえで、子どものころの環境は大きいと思います。たとえば、お母さんが日本人で、お父さんが英語圏の人だとします。もし英語圏で暮らしているなら、家庭の中で日本語をどう保っていくかは、お母さんの努力に大きく左右されます。
子どもは面倒くさがりますし、成長するにつれて日本語を話すのを嫌がることもあります。それでも、家庭の中で日本語を使い続けることが大切です。小さい子どもにとっては、「これは日本語」「これは英語」という意識はあまりありません。ただ、お母さんと話すときはこの言葉、お父さんと話すときはこの言葉、というように自然に使い分けていきます。
今ならYouTubeもあります。英語を身につけさせたいなら、英語圏の子ども番組やアニメを、英語だけで見せるという方法もあります。このとき大事なのは、「これは英語の勉強だ」と強く意識させすぎないことだと思います。ただ、その言葉の世界に自然に触れさせるのです。
以前、親戚の5歳くらいの男の子が家に来たことがありました。その子がテレビを見たがったので、スペイン語に吹き替えられたアニメを見せたことがあります。もちろん、その子はスペイン語などまったく分かりません。それでも、画面に釘付けになって見ていました。
子どもは、それでいいのだと思います。言葉が分からなくても、映像や声の調子、場面の流れで何となく見続けることができます。そうしているうちに、少しずつ音や表現に慣れていくのでしょう。
ただし、外国語を伸ばすには、まず母語の力をしっかり育てることも大切です。母語の力を超えて第二言語が伸びていくわけではありません。もし第二言語のほうが強くなれば、そちらが生活の中心の言語になっていきます。
本当の意味でのバイリンガルは、ふたつの言語を追いかけながら育てていくようなものだと思います。どちらか一方が大きく上に伸びるというより、互いに支え合いながら少しずつ上がっていく。もちろん、バイリンガルにもいろいろな形があります。片方が主で、もう片方が少し下にある人もいれば、どちらも自在に使いこなす人もいます。
そんなことを、レッスンではいろいろと話しました。英語の勉強から始まった話が、いつの間にか言語の育ち方や、子どものころの環境の話にまで広がっていったのです。
その後は、翻訳の仕事が入っていなかったので、これはいい機会だと思い、ずっと後回しにしていたパソコンのバックアップを取ることにしました。
バックアップは大切だと分かっていても、時間がかかるので、つい後回しにしてしまいます。この日は思い切って始めたのですが、やはりかなり時間がかかりました。それでも、終わってみると少し安心します。
バックアップを取ったついでに、ソフトウェアのアップデートも済ませました。これも、ずっと気になっていたことの一つです。
ただ、ここでアップデートをするときは、いつも少し緊張します。というのも、スペインの田舎では突然停電することがあるからです。停電になると、当然インターネットも切れます。アップデートの途中で電気やネットが切れたら、いったいどうなるのだろうと、毎回ひやひやします。
最近は比較的安定していますが、調子の悪いときは、本当に電気がプツプツと切れることがあります。長時間の停電というより、一瞬だけ電気が落ちるような感じです。それでも、パソコン作業中にはかなり怖いものがあります。
この日は幸い、停電もなく、無事にアップデートまで終えることができました。外の天気は相変わらず冬に戻ったようでしたが、気になっていた作業を一つ片づけられたことで、気持ちは少し軽くなりました。


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