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2026/05/06

4月29日(水) フォークを噛んで気づいた、海外暮らしと歯の大切さ

朝から雨が降り、また冬に戻ったような一日でした。さすがにガスストーブをつけるほどではありませんが、机の近くには電気ストーブを置き、足元を温めながら過ごしました。

もう4月も終わり、あと少しで5月です。それなのに、こんなに肌寒い日が続くと、季節の感覚が少し狂ってしまいます。

スペイン、とくにアンダルシアというと、明るい太陽や乾いた空気を思い浮かべる人が多いかもしれません。たしかに、夏になれば容赦なく暑くなります。けれど、その前の「爽やかな春」は、意外と短いのです。

そして寒い、寒いと言っているうちに、ある日突然、夏のような暑さがやってきます。春らしい穏やかな日ももちろんありますが、それは長く続くというより、合間に少しだけ顔を出すような印象です。

そんな天気だったので、この日はほとんど家にこもって仕事をしていました。特に大きな出来事もなく、一日が終わるはずでした。

ところが、夕食中に少しヒヤッとすることがありました。

この日の夕飯は、鶏むね肉を薄く切ったものです。こちらの肉屋さんでは、鶏むね肉を買うときに「フィレテにしてください」とお願いすると、横から薄く切ってくれます。

機械で均一にスライスするわけではなく、お店の人が手で切ってくれるので、日本の薄切り肉ほど薄いわけではありません。それでも、普通のむね肉よりは火が通りやすく、味もなじみやすいので便利です。

それに下味をつけておいたものを焼き、ナイフとフォークで食べていました。

ところが、YouTubeを見ながら少しぼんやりしていたせいでしょう。フォークに刺した肉を食べようとした瞬間、思いきりフォークごと前歯で噛んでしまいました。

「痛っ」と思った次の瞬間、かなり焦りました。

歯が折れたり欠けたりしたら大変です。海外暮らしで何が怖いかといえば、病気やけがもそうですが、歯のトラブルもなかなか厄介です。

幸い、そのときは大事には至りませんでしたが、しばらく前歯の感覚が気になって仕方ありませんでした。

ちょうど先日、英会話レッスンの生徒さんでもあり友人のKさんと、歯の話をしたばかりでした。

その方は、なんと虫歯が一本もないそうです。すごいことです。世の中には、とくに念入りに歯磨きをしているように見えなくても、なぜか虫歯にならない人がいます。私の元夫もそうでした。丹念に歯を磨くわけでもないのに虫歯は一本もなく、歯医者にほとんど縁のない人だったのです。

一方で、私はそういうタイプではありません。だからこそ、歯のことになると少し敏感になります。

その友人と話していたとき、「スペインでは歯の予防はどうしているのですか」と聞かれました。

日本では、定期検診やクリーニングに行く人も多いですし、歯医者は身近な存在だと思います。けれど、スペインでは少し事情が違います。

もちろん、歯のクリーニングに行く人はいます。プライベートの医療保険に入っていれば、クリーニングが含まれている場合もあるようです。ただ、公的医療だけで歯の治療を広くまかなうという感覚は、あまりありません。

スペインの公的医療は、基本的に費用の負担が少なく、病院にかかる際にはありがたい制度です。ただし、待ち時間が長いことも多く、すぐに診てもらえるとは限りません。

そして歯科に関しては、私の理解ではかなり限られています。以前、顎の調子がおかしくなったときに一度診てもらい、レントゲンを撮ってもらったことはありました。けれど、一般的な虫歯の治療や詰め物の処置などは、基本的に自費で歯医者へ行くことになります。

公的医療で費用がかからないのは、主に抜歯だと聞いたことがあります。

そのためか、こちらでは若い人でも歯が抜けたままになっている人を見かけることがあります。もちろん、都会ではきれいに手入れしている人も多いですし、人によってかなり差があります。

ただ、歯を治すにはお金がかかるため、経済的な事情で後回しにせざるを得ない人もいるのだと思います。

私が以前、こちらで歯医者に行ったのは、もう4、5年前でしょうか。日本で入れていた詰め物が、こちらでよく売られているグミのようなお菓子を食べていたときに、ぽこっと取れてしまったのです。

そのときは歯医者に行って詰め直してもらいました。1回で処置は終わりましたが、たしか50ユーロほどだったと思います。今の為替で日本円に換算すると、なかなかの金額です。

一本直すだけでそれくらいかかると思うと、気軽に「ちょっと診てもらおう」とはなりにくいかもしれません。

クリーニングも、おそらく一回50ユーロくらいを見ておけばいいのではないかと思います。半年に一度なら年間100ユーロ。やろうと思えばできる金額ではありますが、毎日の生活の中で優先順位が下がってしまう人も多いのでしょう。

私も一度こちらでクリーニングを受けたことがありますが、少し荒い印象がありました。歯をきれいにするつもりで行って、逆に歯に負担がかかるのではないかと感じてしまい、それ以来あまり積極的には行っていません。

そのため、日本に帰ったときに歯医者で診てもらうことが多くなりました。保険なしで診てもらったこともありますが、それでもクリーニングや簡単なチェックなら、スペインと比べるとずいぶん安く感じました。日本の歯科医療は、改めて考えるとかなり身近で利用しやすいのだと思います。

スペインで暮らしていると、歯に限らず、「医療はどこで受けるのがよいか」という話を耳にすることがあります。

お金を貯めてインプラントをする人もいますし、大きな治療なら国外へ行く人もいます。先日会ったイギリス人は、イスタンブールで歯を治したと言っていました。

スペインから見れば、トルコは距離もそう遠くなく、費用も抑えられるようです。歯科治療だけでなく、植毛や美容整形でトルコへ行く人もいると聞きます。

その人の話では、現地の病院には包帯を巻いた人や、治療を受けたばかりの人がたくさんいて、まるで野戦病院のようだったそうです。もちろん少し大げさに言っていたのかもしれませんが、それだけ医療目的で訪れる人が多いということでしょう。

昔は、歯の治療といえばタイへ行くという話もよく聞きました。インドで治療を受ける人の話もあります。けれど、スペインに住んでいる人にとっては、距離や交通の便を考えると、イスタンブールが現実的なのかもしれません。

日本にいると、歯を治すために海外へ行くという発想はあまりないかもしれません。けれど、ヨーロッパでは国境を越えることが比較的身近です。治療費が安い場所、腕がよいと言われる場所を目指して、人が移動するのは珍しいことではありません。

夕食中にフォークを噛んでしまっただけの小さな出来事でしたが、そこから改めて、海外暮らしの中での歯の大切さを考えてしまいました。

虫歯がない人をうらやましく思いつつ、私はせめて今ある歯を大事にしなければなりません。

スペインの雨が窓を濡らす寒い夜、前歯の感覚を確かめながら、しばらくは硬いものに気をつけようと思ったのでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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