朝起きると、窓ガラスにはびっしりと結露がついていました。急に冷え込んだようで、今日もかなり寒い朝です。
外を見ると、細かな雨が降っているようでしたが、ふとバルコニーの方へ目をやると、雲の隙間から太陽の光が差していました。もしかしたら晴れるかもしれない、と少し期待させられますが、やはりそう簡単にはいかなさそうです。
試しに外へ出てみると、風が出てきて、細かな雨粒がぱらぱらと落ちてきました。それでも反対側の空には少し青空も見えていて、なんとも不思議な景色でした。天気が悪そうなので散歩はやめようかとも思いましたが、結局歩くことにしました。
きっかけは、朝スマートフォンに届いたLINEのグループメッセージでした。昔、香港に住んでいたころの友人たちのグループがあるのですが、今では皆、それぞれ世界のあちこちに散らばって暮らしています。香港に残っている人は、もうほとんどいません。
その中の1人が、今はカナダで介護の仕事をしていて、彼女の活動が記事になったそうです。
そのグループチャットの中で、「動けなくなったら駄目よ。歩けなくなったら大変だから」という言葉が出てきました。それを読んで、やはり今日も歩こうと思ったのです。
年齢を重ねると、何もしなくても時間はどんどん進んでいきます。まるで廊下の向こうから、老いが静かに近づいてくるようなものです。だからこそ、少しでもその歩みを遅らせるために、毎日少しでも体を動かしておくことが大切だと感じます。散歩は、そのための小さな習慣のようなものです。
しかも朝の散歩は、余計な誘惑が少ないのです。この村の困ったところは、昼過ぎに外へ出ると、たいてい誰かがバルに座っていることです。
「ちょっと1杯どう?」と誘われ、そのまま飲み始めてしまうことも少なくありません。意志の弱い私には、朝のうちに歩いてしまうのが一番良いのです。
高台から下を見ると、川の水の色がだいぶ薄くなっていました。少し前までは泥水のような土色をしていたのですが、今日はかなり透明に近づいています。もっとも、また雨が降るらしいので、すぐに濁ってしまうのかもしれません。
遠くの山の方を見ると、霧のような雨が降っているのが見えました。どうやらあちらの方は、かなり強く降っているようです。
そんな天気が少し気になるのは、今夜からこの村でカーニバルが始まるからです。本格的に盛り上がるのは土曜日の夜ですが、今日からイベントが続きます。
この村にも、カーニバルで歌うグループがあります。
「コンパルサ」と呼ばれる大人数の合唱グループと、「チリゴータ」と呼ばれる少人数のグループです。
派手な衣装を着て舞台に立ち、歌を披露するのですが、その内容がなかなか面白いのです。政治風刺や村の出来事をからかったものが多く、スペイン語が分からないと本当の面白さまでは理解できません。
私も細かな意味までは分からないので、音楽として楽しむ程度なのですが、それでも会場の雰囲気はとても賑やかです。
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| 簡易のステージ |
明日の夜は、この村のグループが本格的な衣装で登場します。そして日曜日になると、彼らは村のバルを回りながら歌を披露します。さらに、近くの村から有名なグループもやって来るようです。パレードも予定されていて、しばらくは村中が祭りの空気に包まれます。
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| 素朴なカーニバルの飾り付け |
カーニバルの季節になると、「ああ、もう1年が巡ってきたのだな」と感じます。まだ3月なのに、もう1年の出来事がひと巡りしてしまったような気分になります。時間が経つのは、本当に早いものです。
生活費の現実
そういえば昨日、ガスボンベを注文しました。まだ余裕はあるのですが、空のボトルが2つあるので、補充しておこうと思ったのです。
ところが、ガス屋さんが来てこう言いわれました。
「今日は無理だよ。みんな買っているからね。ごめん、明日でいい?」
中東情勢の影響もあって、最近はガスを買いだめする人が増えているようです。値段も少し上がっていました。今のところ大きな値上げではありませんが、それでも少しずつ上がっています。
3月とはいえ、まだヒーターを使う季節です。ヒーターを使うと、だいたい1週間に1本くらいガスボンベを消費します。まだ寒い日も続くので、少なくともあと4本くらいは必要になりそうです。
ガソリンも同じで、「入れておいた方がいいよ」と言われると、やはり気になります。この地域では車がないと生活できません。多くの家庭では車を2台、3台持っているので、燃料代も大きな負担になります。
さらに最近は、水の問題もあります。村では飲料水が配られることがあるのですが、先日配布されたときはちょうど村にいなくて、受け取れませんでした。
その代わり、近所のパン屋で5リットルのボトルを1つ1.30ユーロで売っているのを見つけました。前回行ったときは7リットルのボトルしかなく、重くて扱いにくかったので、小さめのボトルは助かります。
とはいえ、水も人数が増えるとかなりの量になります。試しに計算してみると、1人で1週間におよそ4ユーロほどです。4人家族なら16ユーロになります。これが1か月続くと、それなりの金額になります。しかもこれは水道代とは別です。
いつもは水道水をフィルターに通して使っています。とはいえ、そのフィルターは高性能な浄水器ではなく、主に石灰分を減らす程度の簡易的なものです。コーヒーやお茶、パスタをゆでるときなどにも使っていましたが、水道水を今はまだ料理には使わないようにという通達があり、パスタもミネラルウォーターでゆでなくてはいけません。
1人暮らしならまだしも、家族で暮らしていると、水もガスも電気も出費がどんどん増えていきます。しかもここ数年で、多くのものの値段は倍近くになりました。
では、お給料も倍になったのかといえば、もちろんそんなことはありません。
日本円に換算すると、ユーロの収入は高く見えるかもしれません。しかし、実際の生活はユーロで回っています。物価が上がれば、その分だけ生活は確実に厳しくなります。
そんなことを考えながら、雨の降り始めた村の道を、私はゆっくりと歩き続けました。時間だけは、今日も静かに流れていきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。






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