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【村の行事】2026年
祝日4月3日(金) Viernes Sano、3月29日(日)〜4月5日(日) セマナサンタ

2026/04/03

3月27日(金) スペインの田舎暮らしと現代社会の境界

午前9時前、バルコニーから外を眺めると、雲が空を覆っています。

その後、ゆっくりと雲がほどけ、青空が少しずつ広がっていきます。散歩に出る頃には、空の印象はすっかり変わっていました。

天気予報では、この先しばらく晴れマークが並んでいますが、ここ最近は予報がよく変わります。結局のところ、その日になってみないと分からない。そんな空模様が続いています。

朝の空気は澄んでいて、散歩には申し分ありません。この日はなぜか人とよくすれ違いました。数えてみると、なんと7人。都会では何でもない数字ですが、この田舎の村では少し珍しいことです。

もっとも、歩いているのは村の中ではなく、外周をぐるりと回る散歩道です。それでも「今日は人が多い」と感じてしまうのが、この田舎の土地らしいところです。

朝は冷えると思い少し厚着をして出たものの、歩いているうちに体が温まり、むしろもう一枚薄くてもよかったと感じるほどでした。

散歩の途中、ふと視線を感じて顔を上げると、目の前にはたくさんの牛がいました。

こちらをじっと見つめるその姿に、思わず足を止めてしまいます。

柵は決して頑丈そうには見えず、近づくには少し勇気がいります。本当は頭を撫でてみたい気もしますが、そこはぐっと我慢です。

自然の中で暮らしていると、こうした思いがけない出会いがふと訪れます。

記憶と身元確認について考える

歩きながら、日本のニュースを思い出しました。

公園で保護された高齢のご夫婦の身元が、7か月後にようやく判明したという話です。記憶を失った状態で過ごしていたことを思うと、胸が痛みます。

このニュースをきっかけに、ふと父のことを思い出しました。日本に一時帰国していたときのことです。夕方の散歩に出たまま、なかなか帰ってこなかったことがありました。

結局は無事に帰宅したのですが、年金手帳や保険証など、大切なものをどこかに置き忘れてきてしまっていたのです。

翌日、近所の警察を訪ねたところ、日本らしく無事に届けられていました。そのとき、ひとつ疑問が浮かびました。

落とし物の持ち主であることを、どうやって証明するのか。

海外では、IDカードや指紋登録が一般的な国も多く、当然スペインでも同様です。私自身も、IDカードを取得する際に指紋を登録しています。

最終的には生体情報で照合できる仕組みがありますが、日本ではそうした制度はまだ整っていないと思います。

高齢化が進む中で、記憶を失った方や身元不明者の問題は、これからさらに増えていくかもしれません。便利さとプライバシー、そのバランスをどう取るのか。

簡単に答えの出なるテーマではあませんが、日本でもいずれ必要とされる仕組みなのではないでしょうか。

キャッシュレスと「見えない不安」

同じように考えさせられるのが、お金の流れの「見える化」です。

日本ではキャッシュレス決済が急速に広がり、カードやスマートフォンでの支払いに抵抗を感じない人も増えています。プライバシーへの懸念が語られる一方で、お金の流れについてはあまり意識されていないようにも感じます。

一方、ヨーロッパでは少し違う側面もあります。

「自分が何を買ったかを追跡されるのが嫌だ」と考える人も少なくありません。便利さの裏にある監視の可能性に対して、敏感な人も多いのです。

この村でも、少しずつ電子化は進んでいます。これまで手書きだった馴染みのバルのレジも、最近ようやく機械化されました。それでも、まだ現金を好む人は多く、都会のように完全なキャッシュレス社会にはなっていません。

停電が教えてくれたこと

こうした話題になると、必ず思い出す出来事があります。

それは雨の日のことでした。ATMでお金を引き出そうとしたとき、現金を数える「カタカタ」という音がして、出てくるのを待っていました。

その瞬間、突然の停電。

カードは吸い込まれたまま、現金も出てこないという、まさに最悪の状況でした。

当時は知り合いもほとんどおらず、元夫もスペインを離れていて、ATMの前で一人で立ち尽くすことしかできませんでした。

ようやく我に返り、唯一連絡先を知っている知人に電話して来てもらい、ATMに記載されている連絡先へ対応してもらいました。

やがて電気が復旧し、カードは戻ってきましたが、現金は出てきませんでした。

銀行からは「引き出されなかった現金は口座に戻ります」と説明され、その言葉にどれだけ安堵したか、今でもよく覚えています。

もし完全なキャッシュレス社会になったとき、こうした停電が起きたらどうなるのでしょうか。ここスペインの白い村で停電は珍しくないのです。

電気もインターネットも止まれば、すべての仕組みが機能しなくなります。

便利さの裏には、こうした脆さも確かに存在しているのです。

夕暮れのバルと、季節の移ろい

夜は、ガソリンスタンドの隣にあるバルで友人と過ごしました。

昼間の穏やかな空気とは一変し、日が沈むと急に冷え込み、まるで冬に戻ったかのような寒さになります。帰り道、暗い空を見上げながら「明日はきっと雲海になるだろう」と、そんな予感がしました。

途中、夜から朝方まで営業しているパン屋に立ち寄り、焼きたてのパンを購入します。坂道を上がってキオスクまで行き、ビールを2缶購入。ポケットに入れて帰路に尽きます。そのほどよい重さが、ちょっとした運動にもなっていました。

セマナサンタ前夜の静かな高まり

村に近づくと、教会から人々が出てくるのが見えました。

どうやら礼拝が行われていたようです。日曜日からはいよいよ「セマナ・サンタ」が始まります。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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