朝は、犬の散歩から始まりました。散歩といっても、ほんの少しだけです。
預かっているワンちゃんは、もう10歳くらいです。まだ元気ではありますが、足の調子が少しよくないようで、若い犬のようにどんどん歩くことはできません。無理をさせないように、家の近くをゆっくり歩きました。
この日は仕事がほとんど入っていなかったので、家で自分の好きなことをしながら過ごしていました。ところが午後になって、またひとつ面倒なことが出てきました。銀行のアプリです。
少し前から銀行のアプリが開かなくなっていました。しかも、何かのサインをしなければならない通知が来ています。6月6日までに手続きが必要なものらしく、それを済ませたいのですが、肝心のアプリに入れません。
今は何でもアプリで済ませる時代です。便利なようで、アプリが開かないと、途端に何もできなくなります。以前、銀行関係でいろいろあった時に電話番号を書き留めていたので、それを頼りに電話をかけることにしました。
電話をすると、まずスペイン語の自動音声が流れました。
「1を押してください」「2を押してください」「3を押してください」というような案内なのですが、早口ですし、内容を正確に聞き取るのは簡単ではありません。
私の電話番号は登録されているので、本来なら英語の案内が流れるはずだと以前聞いていたのですが、実際には全部スペイン語でした。
しかも、こちらの自動音声は、かわいらしい声ではありません。低くて、少し迫力のある男性の声です。聞いているだけで、少し緊張します。
昔なら、こういう時は友人に頼んでいました。けれども今は、すぐ近くに助けてくれる人がいるわけではありません。今いる家は村の中ではなく、ペットシッティングとハウスシッティングで滞在している場所です。車もないので、誰かのところへすぐ行くこともできません。
そこで、コンピューターでチャッピーを立ち上げ、携帯から流れるスペイン語の音声を聞かせながら、何とか内容を理解しようとしました。
もちろん、音声には時間差があります。聞こえたものをその場で確認しながら進めるので、完全にスムーズとはいきません。1回目はうまくいきませんでした。それでも2回目は、だいたいどの番号を押せばよいのか分かり、ようやく人につながりました。
最初に出た人は、英語を話せる人につないでくれました。ただ、最後のほうは何を言っているのかよく分からない部分もありました。
それでも、アプリの「入れない場合」のところから進み、ワンタイムパスワードを受け取って、新しいパスワードを設定する、という流れまでは分かりました。
言われたとおりに試してみました。携帯に届いたワンタイムパスワードを入力し、新しいパスワードも設定しました。その次に、指紋認証を設定しますか、という画面が出ました。そこで設定しようとしたら、今度は画面がぐるぐる回るだけで先へ進みません。
結局、また最初からやり直しです。
もう一度電話をかけました。再び、あの低い声のスペイン語の自動音声です。何とか人につながったものの、今度は英語を話せる人がすぐにはいないと言われました。あとで電話します、と言われましたが、結局その電話はかかってきませんでした。
アプリが開かないだけなら、しばらく待てば直るかもしれません。けれども、期限のある手続きがあるので困ります。6月6日までにサインをしなければならないものがあるらしく、それを済ませたいのです。また改めて、何とかしなければなりません。
それにしても、こういう時に、今のテクノロジーのありがたさを強く感じます。
スペインで暮らしていると、言葉の問題は日常のあちこちに出てきます。旅行中に使うスペイン語なら、注文したり、道を聞いたり、買い物をしたりする程度で何とかなります。けれども、暮らしの中ではそうはいきません。銀行、役所、車、医療、電話の自動音声。どれも避けて通れないものです。
以前なら、こういう時は近くの友人に頼るしかありませんでした。もちろん今でも、人に助けてもらうことはあります。でも、いつも誰かがすぐそばにいるわけではありません。まして今のように村の中にいない時は、自分で何とかする場面が増えます。
そんな時に、チャッピーのような道具があるのは本当に助かります。完璧ではありません。音声のやり取りには時間差があり、もたつくこともあります。それでも、まったく分からないまま電話を切るよりは、ずっと前に進めます。
今回も、すべてが解決したわけではありません。それでも、どの番号を押せばよいのか分かり、人につながり、次に試すことも見えてきました。小さな前進ですが、こういう積み重ねが、海外で暮らすうえでは大きいのだと思います。
便利なものに助けられながら、自分でも少しずつ使いこなせるようになっていく。今日は改めて、テクノロジーに感謝した日でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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