前日の金曜日の夜は、ガソリンスタンドの横にあるバルへ行きました。週末の夜らしく、店にはたくさんの人が集まっていました。
この日そこへ行ったのには、少し理由がありました。以前この村に住んでいた友人が、久しぶりに戻ってきていたのです。その人は今はイギリスで暮らしていますが、村にはまだ家があります。そして、その家の前には広い土地があり、そこにコルク樫の木があるそうです。
コルク樫は、約10年に一度、幹の皮を剥いでコルクを取ります。今年がその年にあたるらしく、友人はその作業を確認するために戻ってきていました。
前回は現地に来ていなかったため、どうも代金がきちんと支払われなかったようです。今回は自分の目で見て、しっかり受け取るつもりなのだそうです。
スペインの田舎では、こういう話を時々聞きます。土地や木や収穫物が暮らしとつながっていて、そこに人間関係やお金のやり取りも入ってきます。旅行で通り過ぎるだけではなかなか見えない、村の暮らしの一部です。
その友人に会いたくて、バルへ行きました。私はその人がとても好きです。明るくて、感じがよくて、会うとこちらまでうれしくなるような人です。久しぶりに会えて、短い時間でしたが、楽しい夜になりました。
そのあと、ローラと一緒に、いつもの闘牛場の横のバルへ移動しました。少しだけ飲もうというつもりでしたが、そこにも知り合いがいて、結局そのまま合流しました。村ではこういうことがよくあります。予定していなくても、バルに行けば誰かがいて、自然に輪の中に入っていきます。
翌日の土曜日は、ロメリア祭の日でした。
ロメリアは、聖母マリア像を教会から郊外の会場まで運ぶ巡礼のお祭りです。小さな聖母像を出発させ、それに人々がついて歩きます。村の人たちはきれいな衣装を着て、馬に乗る人も多く、毎年とても華やかな雰囲気になります。
以前は金曜日の夜から始まり、土曜日、日曜日と続く行事でしたが、今年は少し形が変わったようです。
土曜日の午前中に聖母像が教会から運び出され、そのあと会場へ向かいます。午後には馬に関係する行事があり、仮設のバルやクラブのような場所も作られて、夜遅くまで、というより朝方まで人が楽しむお祭りです。
会場までは往復のバスも出ます。午後3時半ごろから運行が始まり、朝の4時、5時ごろまで続くと聞きました。それだけ、村の人たちにとって大きな行事なのだと思います。
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| 村と会場を往復するバス |
私は毎年、出発を見たあと、みんなについて一時間ほど一緒に歩くようにしています。衣装を着た人たちや馬が並ぶ様子はとてもきれいで、スペインの田舎らしい華やかさがあります。
ただ、毎年この時期はオリーブの花粉に悩まされるので、最後まで歩くことはできません。途中までついて行き、頃合いを見て村へ戻るのが、いつもの私のロメリアの過ごし方です。
例年は午後7時ごろの出発で、山の陰に入ると少しずつ涼しくなります。
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| 2024年ロマリア |
ところが今年は、昼間の暑さが増していく時間帯の出発でした。日差しは強く、歩いているだけでもかなりこたえます。
今年は珍しく花粉症にはそれほど悩まされていなかったので、本当なら歩くこともできたのですが、この暑さでは無理だと思いました。無理をせず、出発だけを見ることにしました。
それに、馬たちのことも少し気になりました。きれいに飾られ、たくさんの人の前を歩く姿は美しいのですが、暑い中では馬も大変です。汗をかいている馬を見ると、華やかなお祭りの裏側にある負担のようなものも感じてしまいます。
ロメリアの出発を見たあとは、別の用事がありました。マドリードから一週間だけ村に戻ってきている友人と一緒に、隣村に住む高齢の女性に会いに行くことにしていたのです。
その女性は82歳です。最近は少し介護が必要になってきているようで、マドリードから来た友人にとっては、次にいつ会えるかわかりません。
たとえ会えたとしても、その時に自分のことを覚えていてくれるかどうかもわからない。そう思うと、今回の滞在中にもう一度会っておきたいという気持ちは、とても自然なことでした。
私も一緒に行きました。村で長く暮らしていると、人とのつながりも年齢とともに少しずつ形を変えていきます。元気だった人が弱っていき、遠くに住む人は年に一度か二度しか戻ってこない。会える時に会っておくことの大切さを、こういう時に感じます。
そのあと一度村に戻り、友人の家でお昼をいただきました。友人の息子さんがパスタを作ってくれました。シンプルな料理でしたが、とてもおいしかったです。家で誰かが作ってくれる食事は、それだけでほっとします。
食事のあと、私はいったん家に戻りましたが、すぐにまた出かけました。今度はその友人をロンダまで送るためです。彼女はロンダからマドリードへ戻る予定でした。
ただ、今はロンダからアンテケラまで列車が走っていません。嵐の影響でまだ復旧していない区間があることと、電化工事の関係もあるようです。そのため、ロンダからアンテケラまでは代行バスに乗り、アンテケラからマドリード行きのAVEに乗ることになっていました。
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| このバスでアンテケーラまで |
友人は、マドリードに着いてからも少し大変そうだと言っていました。ローマ教皇がマドリードに来ているとかで、道路の規制や警備があり、家まで帰るのに時間がかかるかもしれないとのことでした。旅は移動そのものより、最後に家へたどり着くまでが意外と長く感じることがあります。
ロンダの駅では、ついでに自分の鉄道割引カードについても確認しました。60歳以上が使える割引カードを持っているのですが、そこに登録されているID番号が違っているのです。使えないわけではないのですが、毎回少し面倒なので直せるか聞いてみました。
ところが、修正するには新しいカードを作り直す必要があり、その場合はまた料金がかかると言われました。今のカードは2028年まで有効なので、そこまでして作り直すほどでもありません。結局、そのままでいいですと言って帰ってきました。
変更は可能だと思うのだけど。。。何を言ってもここでは無駄です。スペインらしいといえばスペインらしい気がします。
村に戻ってからは、闘牛場の横のバルでひとり一杯飲みました。そのあとスーパーに寄り、家へ帰る途中、今度はプールの近くのバルに友人たちがいるのを見かけました。そこでまた一杯だけ合流して、ようやく家に帰りました。
夜の10時半か11時ごろだったでしょうか。外から馬の蹄の音がたくさん聞こえてきました。ロメリアの会場から戻ってきた馬たちです。暗くなった村の道に、馬の足音が続いて響いていました。
昼間の暑さを思うと、馬たちは本当に大変だっただろうと思います。大きなお祭りになると、馬がたくさん集まり、時には具合が悪くなったり、命を落としたりすることもあると聞きます。華やかで美しい行事ではありますが、その一方で、動物にとっては厳しい一日でもあるのかもしれません。
久しぶりの友人に会い、ロメリアを見て、高齢の知人を訪ね、マドリードへ戻る友人をロンダまで送りました。あちこちへ動いた一日でしたが、振り返ると、どれもこの村で暮らしているからこそ出会う時間でした。
祭りのにぎわいと、友人との別れと、夜道に響く馬の音。そんなものが混ざり合った、6月の土曜日でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。








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