こちらに来てから、少しずつ腰が痛くなっていました。この日はかなり痛みが強くなり、動くのも少し辛いほどでした。
腰そのものというより、腰より少し上、背骨の横にある筋肉の辺りです。以前、転んで腰から落ちたことがあり、その時に内側の筋を痛めました。どうやらその古傷が、何かの拍子にまた痛み出すようです。
そんな状態でしたが、昼の12時過ぎにマルコスとカルメンが迎えに来てくれました。今は車がないので、本当に助かります。
出かける前に、犬と猫たちにお別れしました。
ワンちゃんはまだ足が痛そうです。それでも日に日に、ほんの少しずつ良くなっているようにも見えます。痛そうにしている姿を見ると、やはり可哀想で仕方ありません。
猫たちは対照的でした。年上の猫は昨日も今日もソファーの上でぐったりと寝ています。
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| 暑さでのびてるルビーちゃん |
一方、若い猫は外へ遊びに行ったかと思えば、また戻ってきたりと自由気ままです。
滞在している家にはプールもあり、前日は入ろうと思えば入れたのですが、色々やることもあって結局入りませんでした。この日も泳ぐことなく、そのままカルメンの家へ向かいました。
目的は、以前から少しずつ進めている古い家族の手紙のデジタル化です。
今回取り組んだのは1943年頃の手紙で、4、5通ほど作業をしました。手書きの文字なので、カルメンは一通ずつ原文と照らし合わせながら確認していきます。かなり神経を使うらしく、途中で「もう駄目」と言いながら疲れ果てていました。
私が担当しているのは、まず手紙を撮影し、その画像をAIに読み込ませて文字に起こす作業です。その後、原文と照らし合わせながら修正していきます。
ただ、私はスペイン語のネイティブではありません。文字がはっきりしていれば確認できますが、崩れた筆記体になると途端に難しくなります。
それに、問題は文字そのものだけではありません。
言葉には、その時代を生きた人だからこそ自然に分かる表現があります。
例えば日本語でも、昔のドラマで男性が店に入り、女将さんに「一本つけて」と言えば、それが酒を頼んでいることだと分かります。しかし、日本語を勉強しただけの人、あるいは若い世代には、何を「つける」のか分からないかもしれません。
1943年に書かれたスペイン語の手紙にも、同じようなことがあります。当時なら当たり前だった言い回しや、文章の流れから自然に読み取れる言葉があります。私が文字だけを追っても判断できない部分があり、そこはカルメンに頼るしかありません。
文字起こしが終わると、次は現代のスペイン語に直していきます。そして、その後は英語への翻訳です。
カルメンは英語のネイティブなので、AIが作った英訳を読み、おかしいと感じたところはスペイン語の原文に戻って確認します。一からすべてを訳すわけではありませんが、一つひとつ読んで直していくのは、かなりの労力です。
80年以上前に誰かが家族を思って書いた手紙を、今の私たちが読み解いています。AIを使えば作業そのものは随分速くなりましたが、最後に必要なのは、やはり人間が言葉を読み、その背景を考えることなのだと思います。
しばらく作業を続けた後、マルコスが仕事へ行く時間になったので、それに合わせて家まで送ってもらいました。
そして帰宅した頃には、相変わらず腰が痛いまま。
古い手紙を何通も読み解き、腰の痛みを抱えて家に戻る。そんな夏の日でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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