朝5時ごろに高齢の父から電話があり、それからは半分眠りながら、半分起きているような状態になりました。この日は珍しく、日本からももう一本電話がかかってきました。
窓を開けると、空は曇っていて、思ったよりも涼しい朝でした。
前日の夜は車でバルへ行き、そのまま車を置いて歩いて帰ってきたため、朝のうちに取りに行かなければなりません。
いつもの夏なら、朝から暑くて歩く気になれません。しかし、この日はまだ耐えられる気温でした。昼には暑くなるという予報でしたが、せっかくなので、久しぶりに散歩を兼ねて車を取りに行くことにしたのです。
歩こうと思ったのには、もう一つ理由があります。
前日に友人と撮った写真を見て、自分の体にすっかり締まりがなくなっていることに気づいたのです。鏡を見ているだけでは、頭の中に昔の自分が残っていてフィルターがかかっています。しかし、写真に写ると、容赦なく今の姿を見せられます。
古い車は、時々動かさなければ調子が悪くなります。それは人の体も同じなのかもしれません。車ばかりではなく、自分自身ももう少し動かさなければならないと、改めて思いました。
村にはプールがありますが、知り合いが多い、いえ、ほとんど知り合いのため、水着になることを考えると少しためらってしまいます。
スペインに来たばかりのころ、海へ行ったことを思い出しました。連れて行かれたのは、上半身を裸にしている人や、何も身に着けていない人もいるビーチでした。
周りからは「あなたも脱げばいい」と勧められましたが、もちろん断りました。
周囲には珍しいアジア人は私だけだったため、ただでさえ目立ちます。
冗談半分に、「脱ぐなら日本代表として恥ずかしくない体でなければ無理」と言って、最後まで水着のままでいました。
あれから長い年月が過ぎ、今では上半身どころか、水着になることさえためらうようになりました。そんなことを考えながら歩いて、無事に車を取りに行きました。
昼になると、予報どおり暑くなりました。
空は澄んだ青ではなく、薄い青に灰色を混ぜたような色をしていました。夏にサハラ方面から熱い空気が流れてくると、この辺りの空はこのような色になります。青空ではあるものの、どこか白くかすんで見えるのです。
夜は、毎年恒例の生ハム切り職人の大会が開かれました。会場は村役場前の広場です。
スペイン語で生ハムを切る職人を「コルタドール・デ・ハモン」といいます。村出身の有名なコルタドールがいるため、この大会は毎年ここで開催されています。
参加者がスペイン各地から集まるのか、アンダルシア州内からなのかは分かりませんが、村の行事としてはかなり大きな催しです。
今年は初めて、参加者の中に女性がいました。
大会では、それぞれの職人が生ハムを一本ずつ切ります。
薄く切ったハムを一皿約100グラム、綺麗に並べてお皿を仕上げるのです。抜き打ちで重さを量ったりして、それも審査対象になります。
一本を切り終えるまでには、二時間以上かかります。
薄さを揃えるだけでなく、長時間立ったまま、同じ姿勢で切り続けなければなりません。華やかに見えますが、実際にはかなりの肉体労働です。
女性の参加者も大変だろうと思いながら、その手元を眺めていました。
審査用には、花びらのように美しく並べた皿も作られます。切られたハムは、会場の横に設けられたバルで販売されます。
広場には通常のバルがありますが、注文してから出てくるまでが驚くほど遅いため、今回は仮設のバルで買うことにしました。こちらは大勢が並んでいても、手際よく注文をさばいていきます。
友人が生ハムを一皿買ってきてくれて、一緒に食べました。
ただ、残念ながら、今年のハムもそれほどおいしくありませんでした。どれほど腕のよい職人が切っても、肝心のハム自体の質が高くなければ、味には限界があります。
以前、この大会で食べたハムは驚くほどおいしかった記憶があります。しかし、生ハムの値段も年々上がっています。予算の都合もあり、以前と同じ品質のものを用意するのは難しくなっているのかもしれません。
それでも、毎年この時期に広場へ出かけ、友人と生ハムを食べること自体が、村の夏の楽しみになっています。
夜になっても気温はあまり下がらず、涼しい風もほとんど吹いていませんでした。前日の夜に続いて、この日も大勢の人が外に出て、暑い夏の夜を過ごしていました。










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