昼間はまだ少し暑さが残っていますが、朝晩はずいぶん涼しくなってきました。特に夜は暑くも寒くもなく、とても気持ちのいい季節です。
今週は翻訳の仕事がそれほど多くなかったので、たまっていたブログをせっせと整理してアップしていました。
そんな午後2時過ぎ、突然ヘリコプターの大きな音が聞こえてきました。
最初の1機は少し離れたところを飛んでいきましたが、しばらくすると別のヘリコプターがかなり近くまでやってきました。バルコニーに出て見ていると、何度か旋回しながら少しずつ高度を下げていきます。
ちょうど友人カルメンの家がある辺りの向こう側です。
何があったのだろうと思って眺めていると、しばらくしてヘリコプターが再び上昇してきました。機体の下には大きな袋のようなものがぶら下がっています。
どうやら消火用の水を汲んでいたようでした。そのまま南西の方へ飛んでいったので、どこかで火事が起きているのだろうと思いました。
ここに住んでいると山火事は身近な出来事になっているので、こういう時は少し緊張します。
すぐに、この地域の山火事情報を発信している公式Xを確認しましたが、特に情報は出ていませんでした。ヘリコプターも水を汲みに来たのは二度ほどだったと思います。その後は煙の匂いもなく、特に何事もなかったようでした。
夕方7時半頃まで一日ほとんど座っていたので、少し歩こうと思って散歩に出ました。
外が涼しかったので、この日は久しぶりにジーンズを履いてみました。歩き始めた時はちょうどよかったのですが、最後の方になるとやはり少し暑くなり、もう少し軽い服でもよかったかなと思いました。
それでも、ジーンズで出かけようと思えるくらいには季節が進んできたということです。
いつものように闘牛場の横を通り、その近くのバルまで歩きました。
最初は一人でビールを一杯飲んで、それからスーパーでワインでも買って帰ろうと思っていました。バルにもほとんど人はいませんでした。
ところが、こういう時に予定は変わります。
先日、髪を染めてもらった美容師のロシオがやってきて、「ここ、空いてる?」と声をかけてきました。
「空いてるよ」
と言うと、友達も来るけれど一緒に座っていいかと聞かれました。もちろん構いません。
やがて、長くこの村に暮らしているコロンビア人の女性がやってきました。彼女とは私がこの辺りに来た頃からの顔見知りで、もう長い付き合いになります。
さらに、ヨガかピラティスの帰りだという村の女性も加わりました。
そこからは、女性たちのスペイン語がものすごい勢いで飛び交います。
特にコロンビア人の彼女は話すのがとても速く、私は一生懸命耳を傾けていました。何か言おうと思って口を挟んでも、みんなの声にかき消されてしまいます。
それでも、とにかく聞く。
分かるところもあれば、分からないところもあります。それでも、教科書とは違う、本物の会話の中にいるだけでとても勉強になります。
私にとっては、これも立派なスペイン語のレッスンです。
やがて三人が帰ることになり、私も「トイレに行ってから帰るね」と席を立ちました。
ところが、トイレから出て外へ出ると、今度はリンダとマギーが犬を連れてやってきました。
二人ともイギリス人です。
マギーは翌日イギリスへ帰ることになっていたので、できれば最後に会って挨拶をしたいと思っていました。
その日は二人がカルメンと一緒に食事をすることを知っていたので、カルメンには、「もし村に戻ってから飲みに行くなら教えてね。マギーに最後に会いたいから」と頼んでいました。
ただ、マギーたちは私の電話番号を知らなかったそうです。
それでも、
「その辺を歩いていたら会うかもしれないと思って」
とやってきたら、本当に会ってしまいました。
私はちょうど帰るところでした。
しかも、すでにビールを何杯か飲んでいます。
それなのに、「何飲む?」という話になり、マギーが「ジントニック」と言ったので、私もつられて、
「じゃあ私も」
と、久しぶりにジントニックを頼みました。
そこからまた三人でおしゃべりです。
スペイン語の次は英語。結果的に、この日はスペイン語と英語、両方の会話をたっぷり楽しむ夜になりました。
外はカーディガン一枚でちょうどいい気温です。
暑くもなく、寒くもない。
一年の中でも、こういう時期は本当に過ごしやすいものです。
そして、こういう夜になると改めて思います。
この村では、予定していなかったことがよく起こります。
もちろん、友達と時間を決めて会うこともあります。それでも、たまたまバルに入ったら知り合いがいて、そこから別の人が加わり、帰ろうとしたところでまた別の友達に出会う。
その結果、予定していなかった楽しい夜になることがあります。
そんな時、ずいぶん昔にロンドンの語学学校で聞いた話を思い出します。
夏休みの時期に、ロンドンの語学学校へ通っていた時のことです。
その時、臨時で教えに来ていた女性の先生がスペインの話をしました。
彼女はスペインが大好きで、
「スペインでは、何日も前から予定を決めなくてもいい。友達の家へ行ってドアをノックして、『来たよ。どこか行かない?』という感じでいい。それがとてもいい」
というようなことを話していました。
当時の私は、その話を面白いと思いながら聞いていました。
そして今、自分がスペインの小さな村で暮らしてみると、「ああ、あの先生が言っていたのは、こういうことだったのか」と思います。
もちろん、スペインならどこでもそうだとは限りません。
それでも、この村には確かにそんな空気があります。
何の約束もしていなかったのに人と出会い、そこから話が始まり、思いがけず楽しい時間を過ごす。
この日の夜も、最初はただ散歩をして、ビールを一杯飲んで、ワインを買って帰るだけのつもりでした。
それが気が付けば、スペイン語を聞き、英語を話し、翌日帰国する友人にも偶然会うことができました。
こういう予定外の出来事も、田舎の村で暮らす面白さの一つなのだと思います。
若い頃にロンドンで聞いたスペインの話を、何十年もたって自分自身が体験している。
そんなことを少し不思議に思いながら、気持ちのいい9月の夜を過ごしました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。






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