この日は仕事が少しだけでした。
午後、セビリアから友人のローラがまた村に来るという連絡が入りました。「今向かっているよ」と言っていたので、そのうち連絡が来るだろうと思っていたのですが、それきり音沙汰がありません。
途中、どこかのフェリアらしき写真が送られてきました。多分、ウブリケだったと思います。あちらにも知り合いがいるので、「もしかしたら途中で誰かに会って、そのまま飲んでいるのかな」などと思いながら、まあいいか、とこちらはこちらで用事を済ませることにしました。
ちょうど洗濯用の洗剤がなくなっていたので、少し散歩をしてからスーパーへ向かいました。
必要だったのは液体洗剤とキッチンペーパー、それから洗濯機に使う石灰対策の固形剤です。
この辺りの水はかなりの硬水なので、放っておくと石灰が付着します。洗濯機にもそれなりの対策が必要です。
その3点を買っただけで、合計は12.5ユーロほどでした。日本円にすると、今の感覚では2,500円近くになります。
特に驚いたのが洗剤で、液体洗剤だけで6.5ユーロ少々。普段は安い目の洗剤を買っているのですが、この日はいつもの安い商品が売り切れていました。仕方なく別のものを選んだとはいえ、「洗剤って、こんなに高かったっけ」と改めて値段を見直してしまいました。
記憶では、数年前なら同じような洗剤が3.5〜4ユーロくらいだったはずです。物価が上がったことは分かっていても、日用品を買った時に数字で突きつけられると、やはり驚きます。
買い物を終え、そのまま近くのバルに寄ってビールを一杯飲むことにしました。
ローラにビールの写真を送ると、しばらくして「頭が痛いから、今日はもう出られない」と返事が来ました。どうやらこの日は会えそうにありません。
最初はスペイン人の知り合いの女性二人と一緒に飲んでいましたが、二人ともバルで働いていて、そろそろ仕事に行く時間だと言います。
私はもう一本ビールを飲み、「では私も帰ろう」と店を出ました。
ところが、歩き始めたところで大きな車が止まりました。
中を見ると、友人のマリ・カルメンが乗っています。その隣には、カディスから来たという男性もいました。
「乗って、乗って」
と言われ、そのまま車に乗り込みました。
「どこへ行くの?」
と聞くと、今度はガソリンスタンドのそばにあるバルへ行くと言います。
そこへ行ってみると、知り合いのスペイン人が7人ほど集まって飲んでいました。結局、私たちもその輪に加わることになりました。
少し飲んだ後、今度は「タパスを食べに行こう」という話になりました。
向かったのは、闘牛場の近くに新しくできたタパスバルです。5人で行きました。
私は遅めの昼食にスパゲッティを食べていたので、それほどお腹は空いていません。アルボンディガス、つまり肉団子を一皿と、大皿で運ばれてきたクロケッタを一つだけもらいました。
アルボンディガスはとても美味しかったです。
ほかの人たちは、それぞれ何品か頼んで結構しっかり食べていました。
そして食事が終わった頃、会計をしようと思っていたら、カディスから来た男性が、いつの間にか全員分を払ってくれていました。
初めて会った人です。
「え、ごめんなさい。ありがとう」
と言いながら、私はその前のバルで彼にビールを一本ご馳走しておいて良かった、と少し安心しました。何もしていなかったら、さすがに申し訳なく感じたと思います。
日本では時々、「男性が女性にご馳走するべきか、割り勘にするべきか」といった話題を目にします。
こちらで暮らしていると、人によってもちろん違いますが、男性が女性の分までさっと払う場面には比較的よく出会います。
数人で飲んでいる時も、「これは自分が払う」「次は私が払う」と、誰かが次々に財布を出します。もちろん徹底して自分の分しか払わない人もいますが、気前よくポンポンと払う人も少なくありません。
少なくとも私の周りでは、「ここは自分が払うよ」と自然に会計を引き受ける男性をよく見かけます。
そんなことを考えながら、食事を終えて家に戻りました。
本当はこの夜、家に開けかけのワインが残っていたので、それを飲みながら静かに過ごすつもりでした。
スーパーへ洗剤を買いに行き、バルで一杯だけ飲んで帰る。そのはずだったのです。
ところが、帰り道で知り合いの車に拾われ、別のバルへ行き、さらにタパスまで食べて帰ってきました。
こういうことは、村で暮らしていると時々あります。
予定どおりに一日が終わることもあれば、外へ出た途端に誰かに会って、そこから予定が全部変わってしまうこともあります。
予定外の出来事が、いつの間にかその日の一番印象に残る出来事になっている。
田舎暮らしとは、案外そんなものなのかもしれません。








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