今日は、カトリックの祝日「ディア・デ・トドス・ロス・サントス(Día Todos los Santos)」、つまり「諸聖人の日」です。
日本でいえばお盆のような日で、亡くなった方を敬い、静かに思い出す日でもあります。
村の共同墓地は、この日が一番美しく華やかになります。
お花を手にお墓へ向かう人たちが絶えず、キャンドルの火が一面に灯る夜は、まるで小さな光の海のよう。
この時期だけはお墓が24時間開いていて、夜でも人の気配と温もりに満ちています。
🎃静かな村のハロウィン
昨日の10月31日はハロウィン。
とはいえ、ここではそれほど大きな行事ではありません。
どちらかというと、翌日の「亡くなった人を敬う日」とつながるものとして、静かに受け継がれているように感じます。
昼過ぎから友人に誘われてバルへ行き、夜は毎年恒例の“ケマーダ(Queimada)”という儀式に参加しました。
強いお酒に火をつけ、古い呪文のような言葉を唱えながら、悪い精霊を追い払う――そんな伝統的な行事です。
火のゆらめきとアルコールの香り、読み上げられる言葉の響きが混ざり合って、少し異世界に迷い込んだような気分になりました。
一口飲んだだけでクラクラと酔いが回り、まさに“魔法の酒”でした。
🎸スプーキーな夜に響くバンドの音
その後は、隣村で行われたライブへ。
ギター、キーボード、ベース、ドラムの4人組で、リーダーのマルコスは元プロのミュージシャンです。
彼らの演奏は、夜空を突き抜けるような迫力があります。
大きな四駆の車に4人で乗り合わせて行ったのですが、運転してくれたのは最近こちらに移住してきたイギリス人。
村から車で5分ほど行った所にあるオリーブの木々に囲まれた家です。
イギリスの大きな家とビジネスを売却して世界を旅し、偶然この村に立ち寄ったときに気に入って家を購入したそうです。
こうした“第二の人生”を歩む人たちが、この地方には少なくありません。
別のご夫婦は、ブドウ畑を持ちワイン造りをするのが夢で、こちらに移り住み、十年ワイン造りをした後、そこを売却してまたイギリスに帰国しました。そのお二人はクルーズが好きで世界中を旅しています。8年ほど前に東京で会ったことがあります。その時も日本と韓国を周るクルーズに乗船する前でした。
夫婦で人生を旅するように生きている――そんな話を聞くたびに、「どうやって生活を成り立たせているんだろう」と、少し羨ましく思ってしまいます。
👻仮装しないハロウィン、そして千鳥足の夜
いつもは仮装をするのですが、今回はしませんでした。
こちらの村で本格的に仮装をするのは、3月のカーニバルの時期。その時は私はドラえもんになります。
ハロウィンは子どもたちが学校行事の一環として楽しむくらいで、大人たちは静かに過ごします。
それでもライブには、お化けの仮装をした人たちも。
帰り道は山道。車に揺られて、飲んだお酒が一気に回ってしまいました。自分の体でカクテルしている状態です。
たった10分ですが、長かった〜。
闘牛場で下ろしてもらい、そこからは千鳥足。
月が綺麗な夜、酔を冷ますように夜風の中を歩いて帰りましたが、冷めるどころかどんどん回ってしまった。
夜の村はまだ人の行き来があり、お墓に花を持っていく人の姿も。
危険を感じることもなく、静かに家までたどり着きました。
帰宅後はテーブルにうつ伏せたまましばらく動けず、久しぶりに「酔っ払ったなあ」と苦笑い。
やっぱり、こういう夜は自分で運転して行くのがいちばんです。
飲まないで済むし、何より帰り道に“自分内カクテル”が完成することもありませんから。^^
🌿余韻
二日酔いのため、せっかくの祝日なのにどこにもでかけませんでした。
こちらでは、日本ほど祝日の数は多くありません。
夏に長期休暇を取るのが一般的なので、国が定める祝日は少ないのかもしれません。
今夜も共同墓地には沢山のキャンドルの火が灯り、村人はご先祖様に会いに行くのでしょう。
火の夜、音楽、そして人々の語らい。
トドス・ロス・サントスの週末は、静けさと賑やかさが同居する不思議な時間です。
最後までご覧いただきありがとうございます。





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