今日は久しぶりに海沿いの町、プエルト・バヌースへ出かけました。
山側のコルテスは北風が冷たく、朝からずいぶんと肌寒かったのですが、海の方はまるで季節が違うかのよう。ぽかぽかとした陽気が広がっていて、半袖で歩いている人も多くいました(私は寒がりなので、さすがに長袖のままでしたが……)。
海の空気には不思議と冬の気配を忘れさせる力があります。
バブル期の日本人たちが残した家へ
まず向かったのは、毎月一度見に行っている二軒の家。
1980年代のバブル期、日本人向けに販売された物件が多くあったそうです。
私がスペインに来た20年以上前には、日本人コミュニティはずいぶん小さくなっていましたが、それでもかつては家を買った人たちが集まり、麻雀を囲んで賑やかに過ごしていたようです。
あるご夫婦は、
「定年になったらスペインに住もうね」
そう夢見て家を買ったものの、日本での介護が始まり、移り住むどころではなくなってしまったと話していました。
そして、
「やりたいと思ったことは、その時にやらなきゃダメよ」って言っていました。
笑ってはいましたが、その奥ににじむ本音が胸に残りました。
ユーロと物価が変えた “暮らし方”
私がここに移り住んだ頃、レートは 1ユーロ=120円ほどでした。
物価も今よりずっと安く、日本で年金を受け取りながらスペインで暮らす、という生活も現実的だったと思います。
ところが今では 1ユーロ=180円前後。
物価も大きく上がり、かつては可能だった“年金で海外移住”という暮らし方は、今やほとんど難しくなってしまったのではないでしょうか。
時代の変化の速さに、改めて驚かされます。
今日訪れたレジデンスは、ガーデナーが常駐するしっかりした管理体制の場所です。とはいえ、持ち主のほとんどがホリデーハウスとして所有しているため、定期的に中を確認しておかないと大変なことになることもあります。
実際、この週末の大雨で排水溝が詰まり、テラスから室内に雨水が流れ込み、被害にあった家もあったそうです。
鍵を開けて中に入るまで少し不安でしたが、私が見に行った二軒はどちらも何の問題もなく無事でした。
本当にほっとしました。
友人とコルテ・イングレスへ — 半分スペイン語レッスン
そのあと、プエルト・バヌースのコルテ・イングレスへ。
昔はよく行った場所で、元夫の運転で海沿いの街へ出かけるたび、私もその横で景色を眺めていました。今は一人で海側まで運転するのは気が重いので、いつもの友人に連れて行ってもらいます。
彼女はスペイン人で、とても優しい人。
私の拙いスペイン語を辛抱強く聞いてくれて、話し方もゆっくり。ほとんど“プライベートレッスン”のような時間です。
動物が大好きで、今は犬と猫を合わせて9匹も飼っているとか。
その中にベルジャン・マリノイという警察犬タイプの若い女の子のワンちゃんがいて、身体能力が高すぎて「もう大変なのよ!」と笑っていました。でも話の端々から、溢れる愛情が伝わってきます。
本当に甘えん坊の、かわいいワンちゃんです。
外国人比率の高い町の “高級デパート”
プエルト・バヌースのコルテ・イングレスは高級感があり、同じコルテ・イングレスでもマラガやセビリアとは雰囲気が違います。
ここは富裕層や外国人が多く暮らすコスタ・デル・ソル。
その華やかな空気の中を歩くだけでも、なんとなく楽しくなる場所です。
![]() |
| クリスマスで飾られてます |
ガウシンのビューポイントで見た、特別な景色
帰り道、コルテスまであと25分ほどという場所にある、白い村ガウシンのビューポイントに寄りました。
今日は空気が澄み切っていたので、ジブラルタルの岩山がくっきり。
さらにその向こう、アフリカ・モロッコの山々の稜線まで見えて、思わず息を呑むほどの美しさでした。ここまでよく見える日は、そう多くありません。
冬の透明な空気のおかげでしょうか。
自然が見せてくれたご褒美のような光景でした。
山の冷気と、季節の狭間
村に戻ったあとは、バルでビールを一杯。
車を降りた途端、海沿いの暖かさと打って変わって、ぐっと冷たい空気。脱いでいたセーターと厚手のジャケットを慌てて着込みました。
朝は冬、昼は夏、そして夕方にはまた冬に戻る——。
この時期は寒暖差が激しく、油断するとすぐ風邪を引いてしまいそうです。
季節の境目らしい一日。
変わりゆく景色や、時代の移り変わりをあらためて感じました。
そんなことを思いながら、夜はビールではなく温かい白湯を飲み、静かに今日を締めくくりました。
最後までお読みいただきありがとうございました。



0 件のコメント:
コメントを投稿