コスタ・デル・ソルと白い村
朝は雲が広がっていましたが、その隙間からはきれいな青空ものぞいていました。
少し気持ちが明るくなるような空でしたが、夕方になるとまた雨が降り出しました。
家の中は湿気がこもり、室内干しの洗濯物はなかなか乾きません。
「そろそろ太陽が恋しいな」と思いながら、こんな日常を過ごしています。
そんな何気ない一日の中で、ふと目に留まったのが、スペインの観光に関するニュースでした。
過去最高を更新するスペインの観光客数
2025年、スペインを訪れた外国人観光客の数は、約9,700万人に達し、過去最高を記録しました。
前年をさらに上回るこの数字は、スペインがいまも世界有数の観光大国であることをはっきりと示しています。
数字だけを見ると、
「やはりスペインは観光の国だな」
と、納得してしまいそうです。
けれども、このニュースを見ながら、私はどうしても別のことを思い出してしまいます。
マラガ県という「特別な場所」
私が暮らすマラガ県にあるコスタ・デル・ソル は、単なる観光地ではありません。
ここは、
外国人観光客と、外国人居住者(いわゆるエクスパット)が、何十年も前から同時に存在してきた、スペインの中でも非常に特殊な地域です。
その始まりは、フランコ政権下の1960年代にさかのぼります。
外貨を稼ぐためにつくられた「明るいスペイン」
当時のスペインは外貨不足に苦しみ、国家戦略として「観光による外貨獲得」に力を入れました。
太陽、海、安い物価。
それらを前面に押し出して、外国人を呼び込む。
コスタ・デル・ソルは、その象徴的な舞台でした。
この場所は、
「外に向けて見せるスペイン」
として、意図的につくられた空間だったのです。
イギリス人が見た「二つのスペイン」
1960年代後半から70年代にかけて、
親に連れられてコスタ・デル・ソルにホリデーに来ていた、というイギリス人は少なくありません。
そんな一人が、こう話してくれたことがあります。
内陸部の白い村へ観光に行ったとき、あまりの貧しい生活に驚いた、と。
そうです、その白い村の一つが私が住んでいるコルテス村です。
ビーチ沿いの明るく豊かなリゾートと、内陸部の質素な暮らし。同じ国とは思えないほどの落差が、確かに存在していました。
今の白い村、そしてコスタ・デル・ソル
現在、アンダルシアの白い村々は整備が進み、インフラも整い、生活しやすい環境になっています。
静かで、落ち着いた日常があります。
けれども、そこから車で1時間半ほど走ると、また別世界に出ます。
コスタ・デル・ソル。
お金の匂いが、はっきりと漂う場所です。
フェイスリフトを施し、ぶっくりと膨らんだ唇の女性たち
並ぶ高級ブランドショップ
港に停泊する豪華ヨット
今も昔も、相対的な構図は、あまり変わっていないように感じます。
数字の裏にあるもの
9,700万人という観光客数は、スペインの成功を示す明るい数字です。
けれど、その背景には、特定の地域に富が集中し、「見せるスペイン」と「生活するスペイン」が並存してきた歴史があります。
マラガ県、とくにコスタ・デル・ソルは、その象徴のような場所です。
おわりに
雨で洗濯物が乾かない朝と、世界中から人が集まるリゾートの喧騒。
この二つが同時に存在しているのが、いまのスペインであり、そしてマラガ県の日常です。
観光客数のニュースをきっかけに、そんな土地の重なり合った歴史に、あらためて思いを巡らせる一日になりました。
最後までお読みいただきありがとうございました。


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