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【村の行事】2026年
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2026/01/27

1月27日(火) 横殴りの雨と、rough という言葉

 今日も一日、強い雨が降っています。

外を見ると、雨が横に流れて、まるで風に揺れるカーテンのようです。

黄色の警報はまだ続いていて、明日は赤になるかもしれないそうです。

隣村に住む友人は川沿いの家なのですが、水位が上昇し、家のすぐ近くまで水が迫っているらしく、村役場の方から避難要請があったと聞きました。

夜になって雨脚はいったん弱まりました。

少しは水位も下がったのではないかと思いますが、明日はまた強い雨の予報です。予断は許されません。

そんな一日だったので、今日は外に出ず、家で仕事をしていました。

静かな雨音の中で作業をしていると、ふと、以前から気になっていた英語表現を思い出しました。

きっかけは、“Diamond hidden in the rough” というフレーズです。

「原石に隠されたダイヤモンド」。

荒削りで目立たないものの中に、本当の価値が潜んでいる、という意味の表現です。

ここで使われている “rough” は、「未加工」「粗い」という、比較的中立的な意味合いです。

ところが、この “rough” が気になって辞書を引いてみると、思いがけない別の表現に出会いました。

“a bit of rough” 

そこには、“British English, slang” と書かれていました。

説明には、

「上の社会階級の人が関係を持つ、身分の低い相手」

とありますが、意味は分かるようで、どこかつかみどころがありません。

実際の用例を見てみると、この言葉の性格が少しずつ見えてきます。

“Her friends whispered that the man she was seeing was a bit of rough.”(彼女が付き合っている男性は「身分の低い相手」だと友人たちがひそひそ話していた)

“In those days, a woman from a wealthy family dating a bit of rough caused quite a scandal.”(当時、裕福な家庭の女性が「身分の低い男性」と関係を持つのは大きなスキャンダルだった)

“The tabloids loved stories about actresses who took a bit of rough.” (タブロイド紙は、女優が「身分の低い相手」と関係を持ったという話が大好きだった)

ここで重要なのは、

“a bit of rough” は「お金をもらっている相手」を指す言葉ではないという点です。

いわゆる「ヒモ」や「ツバメ」のような、経済的に依存している関係とは、本質的に異なります。

むしろこの表現が示しているのは、肉体的・階級的な「刺激」です。

上品で秩序だった世界に生きる女性が、あえて「粗野で階級の違う男」と関係を持つ。

そこには、見下しの視線、危うさへの好奇心、社会的タブーとしてのスキャンダル感、が重なっています。

だからこそ、この言葉はほとんどの場合、当事者ではなく、周囲が噂話として使う表現になります。

男性が自分について、“I am a bit of rough.” と言うことは、基本的にありません。

また、この表現がほぼ女性側にしか使われないのも、イギリスの階級社会と性別規範が背景にあります。

上流男性が下層階級の女性と関係を持つことは、歴史的にそれほど「事件」ではありませんでした。

一方で、上流階級の女性が労働者階級の男性と関係を持つことは、強い逸脱として注目され、噂になりやすかったのです。

そのため “a bit of rough” には、下品・差別的に響きやすい、皮肉やゴシップ、タブロイド的文脈で使われる。

そのため、日常会話やフォーマルな場では避けるべき、という明確な使用上の注意があります。

日本語で感覚的に近いのは、

「庄屋の娘と丁稚」

「地主の娘と庭師」

といった、昔の身分社会の構図でしょう。

同じ “rough” という単語でも、

“Diamond hidden in the rough” では「価値を秘めた原石」を意味し、

“a bit of rough” では「刺激として消費される、階級の違う他者」を指します。

言葉は中立な記号ではなく、それを使う社会の価値観や偏見を映し出したりするんですね。

雨音を聞きながら辞書をめくっていて、そんなことを考えた一日でした。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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