昨日までの青空が嘘のように、今朝からどんよりとした雲が空を覆っていました。
気温もずいぶん下がり、外に出ると肩がすくむような寒さ。
夕方にはとうとう雨も降り出し、いよいよ冬が本格的に訪れたと感じる一日でした。
この冷え込みと雨は、少し憂うつでもありますが、アンダルシアでは「ある季節の始まり」を知らせる合図でもあります。
そう、オリーブオイルの季節です。
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| 11月撮影 |
秋から冬にかけて収穫されたオリーブの実が、各地で次々と搾られ、その年の新しいオリーブオイルが生まれる時期。
雨が降り、空が重くなる頃、搾油所では新しいオイルの香りが立ち始めます。
テレビでは、まだ濁りの残る搾りたてのオリーブオイルを、焼きたてのパンにたっぷり浸して食べる様子が映っていました。
深い緑を含んだその色は、澄んだ黄金色とは違い、
「今、この瞬間のオイル」であることをはっきりと伝えてきます。
オリーブオイルは熟成しない?
友人に聞いて、少し意外に思ったことがあります。
「オリーブオイルはワインみたいに熟成して高級になるわけじゃないよ。一番いいのは、やっぱり搾りたて」
確かに、オリーブオイルは時間が経つにつれて酸化が進み、香りや味は少しずつ変わっていきます。
まろやかになることはあっても、“育つ”というよりは、“落ち着いていく” という表現の方が近いのかもしれません。
だからこそ、収穫と搾油の直後にしか味わえない風味があるのです。
実は、そういう新しいオイルを、
「もったいないから」と思って封を切らずに取ってあるのが、家にあります。
知らないというのは、時に罪ですね。
あの「緑の香り」の正体
以前、搾りたての新しいオリーブオイルをもらって食べたことがあります。
パンにつけて口に運んだ瞬間、はっきりとした 緑の香りがしました。
草のようで、葉のようで、少し青い果実の気配もある香り。
油というより、オリーブの木そのものを舌で感じているような、不思議な感覚でした。
この香りは、若い実に多く含まれるポリフェノールや、葉緑素に由来するものだそうです。
喉の奥にほんの少し残る辛味や刺激も、新油ならではの特徴です。
パンにつけて食べる理由
搾りたてのオリーブオイルが、まずパンと一緒に楽しまれるのには理由があります。
加熱せず、調味もせず、
ただオイルの香りと味だけを受け止める。
パンは主役にならず、
オリーブオイルの個性をそのまま引き立ててくれます。
この時期のオイルは、料理の材料というより、香りを味わうための存在に近いのかもしれません。
季節のものとしてのオリーブオイル
時間が経てば、あの鮮烈な緑の香りは少しずつ穏やかになります。
それが悪いわけではありませんが、
「今年の最初の一滴」は、この季節にしか出会えません。
アンダルシアでは、オリーブオイルもまた、野菜や果物と同じ季節の恵みなのだと感じます。
もしこの時期に、新しいオリーブオイルを見かけたら、ぜひパンと一緒に、まずは何も足さずに味わってみてください。
そこには、秋から冬へと移り変わる南スペインの空気が、そのまま閉じ込められているように思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。



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