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2025/12/19

12月19日(金) 搾りたての季節、アンダルシアのオリーブオイル

 昨日までの青空が嘘のように、今朝からどんよりとした雲が空を覆っていました。

気温もずいぶん下がり、外に出ると肩がすくむような寒さ。

夕方にはとうとう雨も降り出し、いよいよ冬が本格的に訪れたと感じる一日でした。

この冷え込みと雨は、少し憂うつでもありますが、アンダルシアでは「ある季節の始まり」を知らせる合図でもあります。

そう、オリーブオイルの季節です。

11月撮影

秋から冬にかけて収穫されたオリーブの実が、各地で次々と搾られ、その年の新しいオリーブオイルが生まれる時期。

雨が降り、空が重くなる頃、搾油所では新しいオイルの香りが立ち始めます。

テレビでは、まだ濁りの残る搾りたてのオリーブオイルを、焼きたてのパンにたっぷり浸して食べる様子が映っていました。

深い緑を含んだその色は、澄んだ黄金色とは違い、

「今、この瞬間のオイル」であることをはっきりと伝えてきます。

オリーブオイルは熟成しない?

友人に聞いて、少し意外に思ったことがあります。

「オリーブオイルはワインみたいに熟成して高級になるわけじゃないよ。一番いいのは、やっぱり搾りたて」

確かに、オリーブオイルは時間が経つにつれて酸化が進み、香りや味は少しずつ変わっていきます。

まろやかになることはあっても、“育つ”というよりは、“落ち着いていく” という表現の方が近いのかもしれません。

だからこそ、収穫と搾油の直後にしか味わえない風味があるのです。

実は、そういう新しいオイルを、

「もったいないから」と思って封を切らずに取ってあるのが、家にあります。

知らないというのは、時に罪ですね。

あの「緑の香り」の正体

以前、搾りたての新しいオリーブオイルをもらって食べたことがあります。

パンにつけて口に運んだ瞬間、はっきりとした 緑の香りがしました。

草のようで、葉のようで、少し青い果実の気配もある香り。

油というより、オリーブの木そのものを舌で感じているような、不思議な感覚でした。

この香りは、若い実に多く含まれるポリフェノールや、葉緑素に由来するものだそうです。

喉の奥にほんの少し残る辛味や刺激も、新油ならではの特徴です。

パンにつけて食べる理由

搾りたてのオリーブオイルが、まずパンと一緒に楽しまれるのには理由があります。

加熱せず、調味もせず、

ただオイルの香りと味だけを受け止める。

パンは主役にならず、

オリーブオイルの個性をそのまま引き立ててくれます。

この時期のオイルは、料理の材料というより、香りを味わうための存在に近いのかもしれません。

季節のものとしてのオリーブオイル

時間が経てば、あの鮮烈な緑の香りは少しずつ穏やかになります。

それが悪いわけではありませんが、

「今年の最初の一滴」は、この季節にしか出会えません。

アンダルシアでは、オリーブオイルもまた、野菜や果物と同じ季節の恵みなのだと感じます。

もしこの時期に、新しいオリーブオイルを見かけたら、ぜひパンと一緒に、まずは何も足さずに味わってみてください。

そこには、秋から冬へと移り変わる南スペインの空気が、そのまま閉じ込められているように思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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