いつもならこの日は決まったレッスンがあるのですが、この日はそれがなく、どこか拍子抜けしたような朝を迎えました。
そんなのんびりした中、午前10時ごろ、ご近所に住むイギリス人のクレアが、散歩に行くのでここのワンちゃんを連れに来ました。
朝起きたとき、ワンちゃんの顔が昨日より腫れていたのです。左側に木のこぶのような膨らみがあり、顔全体もむくんでいるように見えました。食欲もあまりなく、少し心配になります。
それでも散歩には嬉しそうに出かけていったので、「様子を見ても大丈夫だろうか」と思いながら見送りました。
1時間ほどの散歩で、11時ごろには嬉しそうに戻ってきました。
クレアとテラスでお茶をしながら、多分ハチに刺されたんじゃないかな、という話になりました。
実は、以前自分の犬を飼っていたときにも、同じように突然顔が腫れたことがありました。そのときはおそらく蜂に刺されたのが原因で、驚くほど腫れたものの、翌日にはすっと引いていったのです。
その経験があったため、今回もきっと同じようなものだろうと、どこかで安心していました。
散歩から戻ってくると、少しだけごはんを食べて、他の部屋のソファーに横になっていました。
私は再び仕事に戻り、いつも通りの一日が続くはずでした。
ところが、昼食を終えた午後2時半ごろ、状況が一変します。
テラスにいた私のところへワンちゃんが出てきたのですが、ふと顔を見ると、血がにじんでいたのです。
どうやら痒さか痛みで引っかいてしまったようでしたが、それ以上に気になったのは、腫れがさらにひどくなっていることでした。舌を出して落ち着かない様子もあり、「これはただ事ではない」と直感しました。
すぐに飼い主のご夫婦へ連絡を取りました。モロッコに滞在中で、ネット状況が悪いので連絡が取れないかもしれないと聞いていたのですが、幸いにもすぐにつながり、ビデオ通話で状態を見てもらうことができました。そして、やはり獣医に診せた方がいいという判断になりました。
しかし、ここからがスペインらしい展開です。
昼過ぎから夕方まではシエスタの時間。村の獣医さんには連絡がつかず、ようやく返ってきた返事も「今週は不在」。ちょうどセマナサンタの時期で、多くの人が旅行に出ているのです。
次にロンダの獣医さんへ連絡しましたが、こちらもシエスタタイム。ようやくつながったと思えば、「午後は休みで、明日なら対応できる」とのこと。薬の指示はもらえたものの、この状態で一晩待つのは不安が残ります。
そこで頼ったのが、友人のマリでした。彼女も大型犬を飼っていて扱いに慣れており、近隣の町の獣医事情にも詳しい存在です。連絡を取ると、隣町の獣医さんが夕方から開いているとのことで、車を出してくれることになりました。
こうして、急きょワンちゃんを連れて車で40分ほどのカディス県にある隣町へ向かいます。
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| ここの前にある動物病院 |
診察の結果は、予想外のものでした。
原因は蜂ではなく、なんと蛇に噛まれた可能性が高いとのこと。
すぐに鎮静処置が行われ、軽い麻酔を打って、血液検査と点滴が始まりました。蛇の毒は体内、とくに臓器に負担をかけるため、それを洗い流す処置が必要だそうです。
40キロ近くある大きな体のワンちゃんを診察台に乗せるだけでも一苦労で、獣医とマリーが二人がかりで支え、私はそばで体をなでながら声をかけ続けました。
知らない場所、知らない人たちに囲まれ、不安だったはずです。それでもじっと耐えている姿に、胸が締めつけられるようでした。
検査の結果、炎症の数値が高く、翌日も治療が必要とのこと。さらに、腫れている部分の処置や抗生物質の注射も行われ、ようやく一通りの対応が終わりました。
家に戻ったころには、すでに夜10時近く。
ほっとしたのも束の間、どっと疲れが押し寄せてきました。
本来なら仕事を進めるはずだった一日が、まさかこんな展開になるとは思いもしませんでした。それでも、あのまま何もせずにいたらと思うと、今日の行動は間違っていなかったと感じています。
スペインののんびりとした時間の流れと、緊急時の現実。その両方を一度に体験した、忘れられない一日となりました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。





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